2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540281
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
安田 修 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50183116)
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Keywords | ニュートリノ振動 / 標準模型を越える物理 / フレーバー混合 / 非標準的相互作用 / ニュートリノの質量 / 非断熱的遷移 |
Research Abstract |
物質中のニュートリノ伝播における振動確率の解析的表式は、ニュートリノ振動の議論に重要であるが、物質密度が一定の場合には木村・高村・横枕によって、物質密度が断熱的に変化し、かつ伝播距離が長くて振動の平均化が起こる場合には研究代表者らによって、求められることが知られていた。今回、後者の議論を、非断熱的遷移がある場合にも適用できるよう議論した。その前提はレベル交叉が2レベルで近似できるという仮定である。その条件が成り立つ場合には2レベルのレベル交叉における実質的な混合角を木村ー高村ー横枕の方法から求めることが出来、非断熱的遷移が存在する場合にも有効な表式を与え得ることを示した。具体的な例として、ニュートリノ伝播に非標準的物質効果が存在する場合、強い磁場とニュートリノの磁気モーメントがニュートリノ伝播に影響する場合を議論した。 一方、大気ニュートリノによる非標準的相互作用に対する制限を、現行のスーパーカミオカンデと近未来のハイパーカミオカンデの場合に議論した。解析に際しては、スーパーカミオカンデグループによるシミュレーションを再現することが難しいため、我々のシミュレーションにおいて、非標準的相互作用が存在する場合と存在しない場合の違いを見ることにより解析を行った。解析に際しては、加速器からの制約と高エネルギーの大気ニュートリノからの制約を考慮するため、非標準的物質効果のミュー成分はゼロとおき、タウータウ成分が他の成分で表されるという仮定をおいた。その結果、ハイパーカミオカンデの場合、非標準的物質効果の電子ータウ成分には強い制限が付く一方、電子ー電子成分はそれほど制約が付かないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニュートリノ振動現象の解析的・数値的研究に関して、大体当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大気ニュートリノ観測・長基線実験において、新物理の効果を、標準的なニュートリノ振動からのすれとして観測する際の一般論、新物理があった時のパラメーター縮退((3+1) ースキームのステライルニュートリノやニュートリノの伝播中の非標準物質効果がある場合)の研究を、解析的・数値的に進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は、先方から宿泊費を出して頂いて科研費から支出しなくて良い出張があったためと、国際会議の参加登録費が当初の計画よりも安くなったために、残金が生じた。 この残額を含め、今年度も、昨年に引き続き、国際会議等で研究成果の発表を多くするために、国内・海外への旅費と会議参加費にほとんどの予算をあてる予定である。
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Research Products
(7 results)