2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540290
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
太田 信義 近畿大学, 理工学部, 教授 (90167304)
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Keywords | 量子重力理論 / 高階微分 / 繰り込み群 / 漸近的安全性 / ブラックホール |
Research Abstract |
今年度は、まずスカラー場と結合した高階微分を含む重力理論が繰り込み可能であることを示した。この理論は高エネルギーではユークリッド的であるためユニタリー性に問題が無く、低エネルギーではアインシュタイン重力理論に一致すると期待される理論で、それが繰り込み可能であることを確認することは重要な問題である。 また、高階微分を含む超弦理論低エネルギー有効理論における電荷を持ったブラックホールで、漸近的に反ドジッター空間になる解を構成した。これは、ゲージ/重力対応という関係を通じて物性系などへの応用が期待される解であり、この解により高次補正を含めて議論することができると期待される。 昨年行った研究の続きとして、3次元の高階微分を含み繰り込み可能な理論を一般の背景場の場合に拡張して、繰り込み群の紫外固定点を求められる形式を整備した。この計算はさらに一般次元にも適用できる。その結果、やはり摂動的にユニタリーな理論は固定点に対応していないことがわかったが、一方で、調べた限りの次元でこの種の理論は非自明な紫外固定点を持ち、したがって漸近的安全性という性質を持つ理論になっていることを発見した。これは繰り込み可能性にかわる理論の無矛盾性を示唆する結果で、重要なものと考えている。 また、昨年の報告でも述べた重力子が質量を得るmassive gravityという理論の無矛盾性について、一般的な背景場おける完全な理解ができ、発表した。この理論は、現在の宇宙の加速膨張に関連して関心を集めており、その無矛盾性をきちんと理解しておくことは重要な課題である。 以上の成果はそれぞれ学術論文として、また(国際)研究会や学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、漸近的安全性の解明を高次元まで拡張することと、ブラックホールの構成、解析が目標であったが、ほぼ達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究も順調に進み、任意の次元、任意の背景場での高階微分重力理論の繰り込み群的解析ができ、それらの理論が一般に漸近的安全性を持つことがわかった。今後さらに共形不変性を持つ場合へ考察を広げていき、さらに宇宙論的応用などを考えていきたい。とくに最近の観測との整合性などを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた設備備品費を、大学の経常予算でまかなうことが出来たので、その支出は必要がなくなった。 今年度も、出来るだけ(国際)研究会に参加し、主に研究成果の発表と研究打ち合わせのための旅費をまかないたいと考えている。さらに共同研究者との打ち合わせを緊密に行いたい。
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Research Products
(11 results)