2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540290
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
太田 信義 近畿大学, 理工学部, 教授 (90167304)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子重力理論 / massive gravity / 高階微分 / インフレーション宇宙 / 繰り込み群 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年に引き続きmassive gravityの応用、とくに宇宙論的に良い模型が可能かどうかについて検討した。超弦理論で示唆されるように、重力理論には自然に反対称テンソルが含まれることが期待されるので、その効果を含めて、宇宙を記述するのに良い模型が出来ないか検討した。結果は、良い模型ができる可能性がわかった また、昨年、通常のmassive gravityの無矛盾性を任意の背景時空の場合に一般的に示すことが出来たが、この理論には面白いブラックホール解や宇宙解が無い。そこで、今年度の課題として、これを超対称性を持つ場合に拡張することを検討している。しかし、なかなか難しい問題であることがわかり、現在も検討を続けている。 massive gravityの拡張として、bi-gravity(重力が2重に入った理論)も面白い理論であるが、最近このうち1つの重力理論を場の方程式を用いて消去することが出来、その結果、重力理論に高階微分を含む項が出ることが示された。そこで、重力の高階微分としてガウスボネ項を含み、かつ宇宙項を含む理論において、インフレーション解が存在しないか検討した。その結果、驚くべき事に、通常は正の宇宙項でしか存在しない加速膨張解(ドジッター解)が負の宇宙項の場合にも存在し、しかもそれは負の宇宙項の場合だけ安定になることがわかった。これは宇宙論解として有望である。この成果は学術論文として専門雑誌に発表するとともに、いろいろな国際研究会で発表した。 また、SISSA(イタリア、トリエステ)のRoberto Percacci教授を招へいして、それまで継続している重力の量子論を繰り込み群により定式化するアプローチについて議論を行い、そのゲージ不変な定式化について新たな結果を得た。これは今後も継続し、成果として論文発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
bi-gravityにおいて、高階微分が発生する可能性を用いて、有効なインフレーション模型を築くことが出来たのは大きな成果であると考えます。また、massive supergravityおよび、繰り込み群による量子重力理論へのアプローチも、まだ論文には至っていないが、順調に進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、massive supergravityの完成と、繰り込み群による量子重力理論へのアプローチについて、ゲージ不変性などを含めた議論を行い、超弦理論との関係を含めて本研究課題の達成を目指したい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品費および謝金を、大学の経常予算でまかなうことが出来た。また、大学旅費も外国出張や学会発表に使うことが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度もできるだけ国際研究集会と国内研究集会に参加し、研究成果の発表と研究打ち合わせのための旅費に主に使用したいと考えている。また、共同研究者を訪ねての共同研究も発展させたい。
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Research Products
(4 results)