2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540308
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
星 善元 東北学院大学, 工学部, 教授 (80146117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 晃 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60004470)
成田 晋也 岩手大学, 工学部, 准教授 (80322965)
根市 一志 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90296012)
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Keywords | GEM / Avalanche / 放射線検出器 / 液体アルゴン |
Research Abstract |
高エネルギー物理実験用位置検出器として、以前は多線式比例計数管やドリフト・チェンバーのような細い芯線を用いた検出器が用いられてきた。しかし、電子の増幅作用のため空間電荷が生じ、これにより電子による雪崩が抑制される。このような空間電荷の効果のため高い検出効率や高い精度での実験が不可能になっている。このような問題点を克服するため半導体微細加工技術を応用したマイクロパターンガス検出器(GEM)の開発がおこなわれている。この検出器はカプトンのフレキシブル両面基板に多数の細孔をあけ,その両面に金属を蒸着し,この両面に高電圧を印加して細孔内の高電場を利用してガス増幅を得るものである。この一個,一個の細孔がガス増幅器として動作するので,芯線を利用した検出器と比べると正イオンによる空間電荷効果が少ない分高計数効率を有している。またGEMは平面上に多数の細孔があるため2次元の位置情報を得ることができる。このGEMの最適化をシミュレーションで求め、55Feによる電荷分布と電子増幅率を中心に実験を行った。実験に用いたGEMの大きさは10cm×10cm,厚さは50μm,100μmのカプトンの上下に銅を蒸着して電極として用い,細孔の径は70μm,間隔は140μmである。実験はAr(70)+CO2(30),CO2(20),CO2(10)の混合ガスとAr(100)を用いて2種類のGEMをシングルとタンデムにしたときの各印加電圧における増幅度の変化を求めた。始めにタンデムでのドリフト領域、転送領域、信号誘起領域の適正な電場を求めた。これらの実験による知見から各混合ガスにおけるGEMの最適電圧条件を見いだす事が出来た。さらに将来の素粒子実験に用いる液体アルゴン三次元位置検出器(TPC)の基本的データを収集するため10リットルの高真空断熱容器を制作し、プロトタイプのTPCを製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画ではタンデム構造の最適化を行い、液体アルゴン用の真空容器を製作し、GEM読み出しによる宇宙線を中心に実験を行うとしていた。始めにGEMの細孔とその形状、細孔の間隔による電場のシミュレーションを行ない、最適な細孔形状と細孔間隔を求めた。GEMの大きさは10cm×10cm,厚さは50μm,100μmの2種類である。このカプトンの上下に銅を蒸着して電極として用い,細孔の径は70μm,間隔は140μmである。実験はAr(70)+CO2(30),CO2(20),CO2(10)の混合ガスとAr(100)を用いて2種類のGEMをシングルとタンデムにしたときの各印加電圧における増幅度の変化を求めた。これらの実験による知見からGEMを用いた場合の最適な電圧条件を見いだす事が出来た。また低温でのGEMの低圧での液体アルゴンの気相におけるGEMの性能評価をする目的で高真空断熱容器の設計を行った。さらにTPCの電場整形用リングの製作を行い、さらに電場整形用直流電源としてコッククロフト-ウオルトン回路を現在製作し、極低温環境下での特性を実験中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は実際の素粒子実験に使用される液体アルゴン三次元位置検出器(TPC)で使用されるGEMの極低温下での実験を行い、様々な使用条件におけるタンデム構造GEMの特性評価を行う。昨年度に高真空断熱容器を製作したので、その容器を用いて液体アルゴンの気相においての実験を行う。その始めとして、現在製作中であるTPC電場整形用ガードリング用直流電源の製作とその極低低温環境下での動作の検証を行う。この直流電源は直流高電圧発生装置であるコッククロフト-ウォルトン型の5段式増幅回路であり、これを液体アルゴンに浸けてその極低低温環境下で電源の動作の実験を行う.昨年度における予備実験では500V/cm の電場形成には成功したがコッククロフト-ウォルトン型回路の出力の時間変化が格段で異なることから、時間経過によってガードリングに印加された電場の一様性が維持されないことが分かり、現在検証中である。GEMでは、ガス混合比と細孔の高電場により電子がアバランチェへ移行することが分かっているが、早い読み出しや高い計数効率を考えた場合はアバランチェを使用することが望ましい。そこで、GEMによるアバランチェ信号の時間測定を行うため、低雑音・高速応答の前置増幅器回路を設計・製作し、それにより時間応答性・分解能の評価を行う。 以上の研究により、極低温TPC用位置検出器としてのタンデム構造GEMの可能性を明らかにする。これらの知見によって液体アルゴンを用いたTPCでのGEMの実用化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行中において研究計画の変更が生じたためである。 GEMからの信号読み出し系に新しい増幅回路を製作する。
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