2014 Fiscal Year Annual Research Report
複合極限環境下での4f電子系化合物の価数マッピングによる量子相転移の研究
Project/Area Number |
24540389
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
河村 直己 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 副主幹研究員 (40393318)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 量子相転移 / 量子臨界現象 / 価数揺動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,4f電子が生み出す量子ゆらぎによる量子相転移現象を,4f電子数(価数)ゆらぎという観点から理解するために,複合極限環境(低温・強磁場・高圧)下でのCeおよびYb化合物のX線吸収による価数相図の作成を目指している. 今年度は,これまで行ってきたCeおよびYb化合物に対する価数評価の実験的な問題点を解決すること,および価数の微小変化の有無の確証を掴むことに成功した.特に低温・高圧力測定に対しては,小型高圧セルを搭載する冷凍機の改良を行うことで,最大3個の高圧セルを搭載し,安定して3 Kまで冷却可能となった.また,測定精度の向上により,X線吸収分光法およびX線発光分光法の両手法において,価数変化が0.001程度まで観測可能となった. 一方で,昨年度に引き続き高圧下電気抵抗計測用の小型高圧セルの開発も行ったものの,X線分光法との同時計測は,ビームタイムの制約からその機会を得ることができず,実施できなかった.しかしながら,X線分光とマクロ物性の同時計測の重要性・必要性は今後も不可欠なものとなり得るため,手法開発は継続していく予定である. 研究期間全体において,価数相図の作成はCe化合物およびYb化合物に対してそれぞれ1つずつではあるが達成することに成功した.相図作成にあたり最大のネックとなったのは温度依存性測定時の試料位置の安定に要する時間である.価数変化0.001程度の観測を実現するためには,X線分光測定中に如何に同じ位置にビームを当て続けられるかということが重要となる.特に高圧下測定では,ビームサイズがミクロンオーダーであるため,系全体の温度の安定が重要な鍵となるといえる.今後,価数相図作成のスループット向上に向けて,試料位置安定化のためのフィードバックシステムの構築,冷凍機の温度制御システムの改良,X線分光測定の高速化などの高度化が必要とされる.
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Research Products
(6 results)