2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子の細胞内取り込み挙動解析を可能とする単一ナノ粒子計測システムの開発
Project/Area Number |
24550112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 和三 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50356490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高津 章子 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究科長 (10357361)
藤井 紳一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (10415739)
宮下 振一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (60614766)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 細胞 / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究では、我が国における産業及び医療分野における機能性ナノ粒子の開発競争力強化に資することを目的として、金属含有ナノ粒子の細胞内取り込み及び溶解性評価を可能とする単一ナノ粒子計測システムを新規開発している。研究初年度であるH24年度は、細胞内単一ナノ粒子計測システムを具現化するため、①高時間分解計測(時間分解<1ms)を可能とする検出システムの構築、②細胞直接導入インターフェースの大幅改良による適用細胞サイズ範囲の拡張を実施した。 ①高時間分解計測を可能とする検出システムの構築 過去のエアロゾル分解時間に関する研究から、ナノ粒子のプラズマ内分解を捕らえるには、時間分解<1 msが必要だが、汎用装置では時間分解10 msでの測定が限界であった。本研究では、装置メーカー協力のもと、パルスカウンティングユニットを用いた直接信号読み込みシステムを構築し、検出器からのパルスシグナルを直接読み込むことで時間分解50 usの計測を可能とした。本システムを用いることで、細胞及びナノ粒子から短時間に生成するイオンを高感度に検出することに成功した。 ②細胞直接導入インターフェースの大幅改良による適用細胞サイズ範囲の拡張 既開発の細胞直接導入インターフェースでは、噴霧液滴の平均粒子径(<3 um)未満の大きさの細胞しか導入することができなかった。また、その導入効率も30%程度であった。本研究では、細胞直接導入インターフェースのネブライザー形状の改良及び気化室部分の再設計により、平均粒度3 um前後の細胞のみならず平均粒度10 umの細胞でもプラズマへの100%導入を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目標である、①高時間分解計測を可能とする検出システムの構築、②細胞直接導入インターフェースの大幅改良による適用細胞サイズ範囲の拡張、ともに満足できるレベルで達成できていることから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果である改良型細胞直接導入インターフェースのさらなる高機能化を図る。具体的には、100%導入可能な細胞の大きさを平均粒度20 um程度まで拡張できるようにネブライザー先端部を改良する。 さらに、高時間分解計測システムと改良型細胞直接導入インターフェースの性能実証のため、銀ナノ粒子を暴露した培養微生物細胞の高時間分解分析を実施する。さらに、細胞内でのナノ粒子溶解性評価を可能とするシステムとして、細胞内液100 %導入インターフェースを新規開発する。システムとしては、顕微鏡マニピュレーティングシステムを構築し、細胞からの内液分取技術を確立する。さらに分取した内液を100%プラズマに導入するための高効率導入システムを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞直接導入インターフェースの改良費として30万円、顕微鏡マニピュレーティングシステム構築費として80万円の支出を見込んでいる。さらにナノ粒子等の試薬及び消耗品として30万円、海外学会での成果発表のための参加登録費及び旅費50万円の支出を見込んでいる。
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