2013 Fiscal Year Research-status Report
液体超薄膜レーザー誘起ブレークダウン発光分光による混合溶存元素の高感度検出
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24560068
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大場 弘則 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (60354817)
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Keywords | プラズマ / ブレークダウン分光 / 液膜生成プラズマ / 高感度分析 |
Research Abstract |
本研究では、水溶液の超薄膜化によって得られるレーザー誘起ブレークダウン発光分光(LIBS)発光増大効果のメカニズムを解明し、混合溶液溶存元素の高感度検出を目指す。 今年度は、蒸留水およびナトリウム水溶液を用いてレーザー照射時の発光部時間分解観測を行ってプラズマ・液体の動的挙動を調べ、発光強度に対する液体薄膜の膜厚の効果との相関を考察した。その結果、入射レーザーと液体薄膜の相互作用体積が発光増大効果のメカニズム解明に寄与することが概ねわかった。 また、シングルパルスレーザー照射と、2台の異なるレーザー発振器から時間差を設けてレーザー光照射するダブルパルス方式との検出感度を比較した。発光信号強度に対する背景信号比(S/B)を感度の指標として発光観測最適条件を調べた結果、ダブルパルスはシングルパルスに比べてS/Bが10倍向上すること、2つのレーザー光の時間差がS/Bに大きな影響を与えることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連携研究者である伊藤義郎長岡技術科学大学教授の協力により、レーザー照射時の液体薄膜の形状変化およびプラズマ発光をサブマイクロ秒の時間スケールで観測できるようになった。また、アブレーションレーザーを2台用いたダブルパルス照射発光分光計測が実施できるように実験体系を変更した。時間分解検出器に不具合が発生したが修理は完了し、正常に動作するようになった。これらのことから、計画は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験において、液膜ジェットを用いたLIBSでは、レーザー光の集光方法、雰囲気圧力等が発光強度・感度に大きく依存することが判り、再度高感度分析の最適観測条件を見出す実験を進める必要がある。それ以外は年度計画に基づいて研究を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
時間分解検出器の不具合が発生し修理を依頼したが、メーカの判断で無償となったため修理費用が不要となった。本案件が判明したのが年度末であり、新たな購入等契約行為が困難であった。 国内旅費:実験及び打合せ(原子力科学研究所-長岡技術科学大学)、成果発表(応用物理学会・原子力学会等)350,000円 外国旅費:成果発表(LIBS2014 北京7日間)450,000円(翌年度請求分含む)
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Research Products
(5 results)