2014 Fiscal Year Annual Research Report
液体超薄膜レーザー誘起ブレークダウン発光分光による混合溶存元素の高感度検出
Project/Area Number |
24560068
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大場 弘則 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門・量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (60354817)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザー / ブレークダウン分光 / プラズマ / 液体薄膜生成 / 高感度分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、液体を対象にしたレーザー誘起ブレークダウン発光分光(以下LIBS: laser-induced breakdown spectroscopy)法において、水溶液を超薄膜化することによりブレークダウンプラズマの生成効率が向上することを利用し、レーザー光と水溶液との相互作用を時間分解観測することによって得られる最適発光分光条件の探索を行う。これにより、元素特定をオンサイトで簡便かつ迅速に高感度分析する技術の開発につなげる。本課題は、液体薄膜を用いた場合に観測されるブレークダウンプラズマの増強機構を解明することを主目的としており、液体薄膜のアルカリ金属元素溶存水溶液や高レベル放射性廃液の模擬溶解液のLIBSへの適用について適用可能性を評価した。 LIBSプラズマの増強機構解明では、液体の膜厚と発光検出感度の関係を調べた。その結果、液体膜厚を数μmから数十μmに増加させるとそれに比例して検出感度は向上して20μmで最大感度となり、膜厚が25μmを超えると急激に検出感度が低下した。この現象について、液体薄膜形状の時間分解シャドウグラフおよびプラズマ発光分光計測を行い、レーザー光と水溶液の相互作用体積の大小、即ち液体薄膜の膜厚により飛沫の発生量や飛散方向が異なり、検出感度は膜厚に依存することを明らかにした。 高感度分析へのLIBS適用実験では、誘導結合プラズマ発光分光(ICP-AES)分析において難分析元素とされているルビジウムやセシウム等アルカリ金属元素を対象に行い、元素濃度と発光強度の良好な直線性が得られ、検出下限値ではセシウム(24.7 ppb)、ルビジウム(4.3 ppb)、ナトリウム(0.1 ppb)となり市販のICP-AESを凌ぐ値を得た。また再処理過程での工程分析への可能性については、高レベル放射性廃液を模擬した14元素共存硝酸水溶液を用いて検証した。
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Research Products
(10 results)