2012 Fiscal Year Research-status Report
新規日本人模擬骨シミュレータのオーダーメイド設計・製造プロセスの研究開発
Project/Area Number |
24560116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
辻上 哲也 龍谷大学, 理工学部, 教授 (80243179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 大輔 龍谷大学, 理工学部, 講師 (20447907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 模擬骨 / ねじ押し抜き試験 / 骨切り・骨ドリリング特性 / 整形外科手術シミュレータ |
Research Abstract |
本研究は,日本人患者に適した骨切り・骨ドリリング特性を持つ整形外科手術シミュレータ用新規模擬骨材料の開発を行い,その特性と形状を患者別に決定可能なオーダーメイド設計・製造手法を確立するものである。初年次の研究では,SEM観察および,圧縮試験,ねじ押し抜き試験を行うことにより,骨切り・骨ドリリング特性の評価手法を検討し,以下のような成果を得た。 1.模擬骨材料に対し圧縮試験を行った。圧縮変位が1 mmから5 mmの領域において,新規模擬骨材料と既存模擬骨材料の荷重の大きさに差異が見られた。この差は,SEM観察による新規模擬骨材料と既存模擬骨材料の空孔の大きさと空孔の単位面積当たりの個数に起因すると考えられる。模擬骨材料の力学的特性は,空孔による微小構造と密接な関連があることが示唆された。 2.模擬骨材料に対してねじ押し抜き試験を行い,骨切り・骨ドリリング特性の評価手法を確立するため,ねじ押し抜き試験より得られた荷重-変位曲線から,骨切り・骨ドリリング特性と関連する材料の切削のメカニズムを基に考察した。その結果,最大荷重値,荷重上昇時の傾き,最大荷重後荷重減少時の傾き,残存荷重の傾きは,それぞれ切削の特性と密接に関連することが示唆された。 3.ねじ押し抜き試験結果から得られた荷重-変位特性において,各領域の傾きを新たな指標として抽出を行いそれぞれの関係を調べた結果,各指標間には線形関係があることがわかり,これらの指標と密度との間に密接な関連があることが示唆された。これより,要求される機械的特性を有する新規模擬骨材料の製作のための指標になり得る可能性が示された。 4.ブタ大腿骨を用いて実骨試料と模擬骨両者のねじ押し抜き試験による骨切り・骨ドリリング特性の取得・比較を行った。その結果,実骨は,新規模擬骨材料と既存模擬骨材料の中間の特性を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.新規模擬骨の材料構成成分比と機械的特性および,骨切り・骨ドリリング特性との関連を定量化するため,負荷試験とねじ押し抜き試験を検討し,骨切り・骨ドリリング特性を評価するための荷重‐変位曲線を得ることにした。 2.オーダーメイド設計に必要な患者固有の骨密度に対する模擬骨の材料構成比・発泡率の同定・決定方法を確立するため,模擬骨材料のSEM観察から構成材料成分比や発泡率の異なる模擬骨を分類し,負荷試験とねじ押し抜き試験を実施した。それぞれの模擬骨に対する破壊挙動のモデル化と骨切り・骨ドリリング特性との関連性について考察し,特性評価指標の有用性を検討した。 3.実骨試料と模擬骨試料の力学的特性の比較により模擬骨材料の力学的特性の妥当性・有用性を評価するため,ブタ大腿骨を用い,実骨試料と模擬骨両者のねじ押し抜き試験による骨切り・骨ドリリング特性の取得・比較を行った。評価の前に,予備実験として,ブタ骨の実験条件の検討を行い,ブタ骨の乾燥程度,同一断面試料内の測定部位(皮質領域近傍・海綿領域内)の変化に伴う特性の変化を評価した。引き続き,ブタ骨試料の試料間での力学的特性の変化のばらつきを捉えるため,ブタ骨試料の数を増やし,詳細な検討が必要と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.模擬骨材料の密度以外の力学的特性に影響を与える要因についての検討が課題である。今年度実施したねじ押し抜き試験で使用した試験片は,ミクロ構造および密度の種類が限定的であったため,さらに種類を増やして追実験を実施し,データの信頼性を高める。また,実骨の骨切り・骨ドリリング特性データの取得について不十分であるため,追実験を実施する。 3.模擬骨のミクロ構造分析とそれに基づいた計算モデルを用いて,マクロな機械的特性と骨切り・骨ドリリング特性変化に与える影響を定量評価する必要がある。日本人骨の個体別イメージベースモデリング手法を確立するため,模擬骨のX線マイクロCTスキャンによるイメージベース計算モデルに対するミクロ構造分析・観察と均質化解析を行い,材料の構成成分比と発泡率の変化が,マクロな機械的特性と骨切り・骨ドリリング特性変化に与える影響を定量的に評価する。 4.CTスキャンによる個別の日本人骨のイメージベースモデルを計算機上に作成するためのデータ取得とその形状データに基づいた新規模擬骨材料を用いた骨モデルの製造に至るまでの具体的システムの提案を行う。また,製造された模擬骨に対し形状誤差を分析し,形状再現性の精度評価に基づいたオーダーメイド設計・製造手法の有用性について評価・考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず,模擬骨材料および,実骨のねじ押し抜き試験を実施するにあたり,新たな試験片の作製・調達が必要になる。実験条件の変化に対応した試験片の数が必用であるため,試験片調達のために研究費を使用する。次に,ねじ押し抜き試験結果から得られる力学的特性とともにドリリング時の特徴的な指標の抽出を検討するため,設置した試験片に対するドリリング試験とそのトルク測定を同時に実行可能な小型試験機の導入を検討する。また,計算シミュレーションによる模擬骨材料のような多孔質材料の力学的特性評価のためのモデル化と解析計算への展開を予定するため,イメージベース計算モデルの解析システムの設置費とその保守料が必要になる。イメージベース計算モデルは,CTスキャンから高解像度で得られる材料内部の情報を詳細なボクセル要素でモデル化するため,大規模な解析計算が必要になることが予想される。このため,解析システムの並列計算化および,それに対応する計算機環境の構築が不可欠であり,今年度の研究費でこれらの整備を行う予定である。さらに,成果報告のための国内外への会議への参加のための出張費や,論文作成費としての使用を予定している。
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Research Products
(2 results)