2012 Fiscal Year Research-status Report
産業用繊維を空気流で操作するための空気力学的特性の解析
Project/Area Number |
24560215
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
八田 潔 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80280379)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 流体工学 / 圧縮・非圧縮流 / 産業用繊維 / 空気抗力 / 自動化省力化 |
Research Abstract |
本研究は、最近脚光を浴びている炭素繊維やアラミド繊維など「産業用繊維」において、従来の衣料製織技術と同様に、空気流を利用して飛ばしたり保持したり移動させるなど、繊維を自在に操作するための空気力学的特性を明らかにすることを目的としている。 最初に、産業用繊維に関する調査を行うとともに製造工程なども見学して、ガラス繊維・炭素繊維・高性能PE繊維・PBO繊維・アラミド繊維などの産業用繊維および織物サンプルを入手した。これをもとに、繊維や織物の構造および特性を調査し、衣料用繊維との比較、空気力学的特性に及ぼす影響などを検討した。 一方、今年度は繊維の空気抗力を測定するための吸い込み流実験装置の製作にも着手した。装置は直径30mm長さ1000mmの円筒空間において最大120m/sまでの空気流を発生させることができ、その中に繊維を挿入することによって太さや構造・拘束条件を変えた様々な繊維の張力を測定することができる。空気抗力係数が既知であるモノフィラメント糸の空気抗力を計測することで、この装置の検定までが完了した。より高速の空気流については、圧縮空気を使用したジッットノズルの装置を準備し、300m/s超(音速域)までの空気流を生成できるようになった。加えて、産業用繊維を取り扱う上で問題となる毛羽・粉塵・フライなどに対して、機器の電気的保護や人体への影響なども十分考慮し、安全性の確保についても取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象となる各種「産業用繊維」は最先端の素材であり、研究開発および市場シェアに関する競争も極めて激しい。このため、どのメーカーでも閉鎖性が強く機密の点からも、容易に素材を購入することができなかった。そこで、メーカーなど数社に研究協力を依頼しサンプルの提供は実現したが、研究の進捗に若干の遅れを生じている。その他、実験装置の製作等は計画どおり順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、形状寸法・糸構造・物性など産業用繊維の特徴を把握するための測定を継続する。同時に、空気流に対する繊維の空気力学的特性について実験を行い、基礎データを収集する。これらをもとに、空気流を使って繊維をさまざまに操作する上での、従来の衣料用繊維との違い、産業用繊維のもつ特有の問題点や特徴を明らかにしていく。さらに、産業用繊維を確実かつ効率的に操作するための条件などについても検討していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたメーカーからの産業用繊維購入が予想以上に困難で、結果としてサンプル提供という形で実現したため、研究費に残額が生じてしまった。しかし、今後繊維を加工しながら実験をするにあたり、繊維を被覆・収束させるためのサイジング剤が新たに必要となった。このため、余剰分をこの部分の経費に充当する計画である。 その他については、調査研究費、計測機器消耗品の購入、ソフトウェアサポート料など、当初の計画どおり使用する計画である。
|