2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 正太郎 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (10282576)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱泳動 / 微粒子状物質 / 微小重力実験 |
Research Abstract |
本研究は、微粒子状物質の挙動を理解し環境技術に役立てるための基礎研究であり、微粒子の挙動に影響を及ぼす熱泳動現象について、気体の組成が及ぼす効果を明らかにすることを目的としている。初年度である本年度は、おおむね当初の計画通りに研究を実施することができた。すなわち、単一組成・混合組成の気体を用いた実験を行いデータを蓄積するとともに、水蒸気を用いた実験を行うための装置改良を、主として設計段階まで行った。 前者については、燃焼ガスを念頭に置いて、主たる燃焼生成ガスとして二酸化炭素を、酸化剤ガス(空気)として窒素を、代表的な燃料ガスとしてメタンを、それぞれ実験に使用した。また、気体のどのような性質が現象に影響しているのかを探るため、アルゴン・一酸化二窒素も調べた。実験を行う前の段階では、熱泳動に影響を与えうる因子として、気体分子の分子量・衝突直径・回転自由度などを想定していた。空気と比べて顕著に違った性質を水蒸気が示すことが先行研究により示唆されていたので、これらの因子のうち、回転自由度の影響が大きいことを事前には予想していた。しかし得られた実験データを解析した結果、この予想に反して、衝突半径の影響が大きく他の二つの因子の影響は小さいことがわかってきた。得られた結果を理論予測と比較することにより、理論式に含まれる実験定数である「接線運動量適応係数」の数値を割り出し、衝突半径が大きい分子ほどその数値が小さくなるという結果を得た。 一方、後者については、水蒸気の凝縮の問題を避けるための装置改良について検討を行った。既存の実験装置にすでに組み込まれている減圧チャンバを流用し、結露が起こらないような対策・条件設定を検討し、具体的な装置設計を行った。設計の基本部分は完了し、中核部分となる蒸気発生器等の追加機材については選定を終え、次年度(H25)にかけて発注手配を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、初年度の実施内容として、水蒸気を除く気体について単一組成・混合組成での実験を進めることと、水蒸気での実験に向けた検討・準備を行うことの二つを主として予定した。前者については完了し、後者についても装置改良を設計段階まで進めることができたので、ほぼ予定通り順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度使用額は、主として、水蒸気の実験に向けた装置改良のために必要となる追加機材の発注手配が、納期の関係で年度内に完結できなかったことによって残ったものであり、次年度の初期に機材手配により執行する。初年度は、ほぼ、当初の計画に沿って研究が進展しており、今のところは、次年度以降も、当初の申請に沿って進めることを想定している。すなわち、次年度に水蒸気の実験結果を加えて実験データの解析を進め、最終年度に理論モデルの構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額分の研究費は全額、装置改良のための追加機材の購入のために執行される。年度末に納品が間に合わなかったために年度を繰り越したものであり、すでに手配済である。
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Research Products
(3 results)