2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気熱量効果を有する機能性エネルギー変換メディアの熱輸送特性評価
Project/Area Number |
24560232
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川南 剛 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20281793)
|
Keywords | 熱工学 / 熱物性 |
Research Abstract |
本申請課題で提案する磁気熱量性流体(Magnetocaloric fluid; MCF)は,外部磁場操作により吸発熱を発現する磁気熱量効果材料微粒子を分散液体に懸濁させた機能性流体の一種である.本研究の目的は,MCFを利用した局所選択的な非接触加熱・冷却デバイスおよびエネルギー変換デバイスの開発と基礎特性評価である.平成25年度の研究実績を以下にまとめる. (1)磁気熱量効果材料の微粒化手法およびMCFの作成手法の確立: 前年度において,MCFの分散安定性の面で当初の研究成果が未達の項目であったMCFの作成手法の確立について引き続き検討を行った.前年度の結果を踏まえ,1)平均粒子径10ミクロン程度の磁気熱量効果材料を使用したこと,2)ベース液にシリコーンオイルを用い金属スラリーを製作したこと,が新たに取り組んだ点である.昨年度はカルボキシメチルセルロースを分散媒としたMCFについて検討を行い,その分散安定性を確認することができたが,粘性が増大するため流動特性は悪いといわざるを得ない.そこで,本年度はシリコーンオイルベースのMCF作成を試みた.その結果,界面活性剤を用いた適切な前処理を行うことにより,数時間程度の分散安定性をもったMCFの作成を作成することが可能であった. (2)作成したMCFの基礎的な基礎的熱特性の把握: 作成したMCFのキュリー点の把握および温度と熱特性の関係について,示査走査熱量計を用いて測定を行った.その結果,磁気熱量効果材料のキュリー点である293K付近で大きな熱吸収が確認でき,MCFとしての機能を有していることが確認された. (3)熱交換特性評価のための実験装置の製作: 流動するMCFからの熱移動特性および流動挙動を評価するための実験装置を製作した.装置は主にハルバッハ型磁気回路,MCF貯留部,および駆動用ポンプを含むMCF循環系から構成されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績の概要で記述したように,MCFの分散安定性についての検討に時間を要することになり,当初予定していた実験装置の製作および実験については平成25年度内に完了することができなかった.この点については,平成26年度も引き続き作業を行い,早期に熱移動特性評価の実験を行えるように研究計画の見直しを行ったところである.
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは早急に熱移動特性評価のための実験装置を構築させる.本装置は,完成間近であり,平成26年度の早い時期に実験を行える予定である. MCF温度変化の到達目標は,金属スラリーであるMCFにて磁気熱量効果材料単体と比較し,60%程度の温度変化を得ることである.この点は分散の重量比などを実験パラメーターとして検討を行う予定である.また,流動媒体として流体駆動力低減の観点から,圧力損失の測定を行い,磁気熱量効果材料の分散量,最大温度変化の値,および流体駆動力の関係から,システムの効率および設計に関わる指針を明らかにする.さらに,数値解析によるシステム評価を行い,各種材料を想定した場合の効率向上の可能性を検証する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度完了予定であった,熱移動特性評価のための実験装置が完了できなかったため,実験装置構築に必要な部材および実験を遂行する上で必要な試薬等の消耗品購入に遅れが生じたことが次年度使用額が発生した理由である. 次年度使用額である175,240円は,主に実験装置構築に必要な部材および供試流体を作成するための材料類(シリコーンオイル,磁気熱量効果材料,前処理のために試薬等)を購入する計画である.
|