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2012 Fiscal Year Research-status Report

ナノプラスチック粉体燃焼における火炎構造の解明

Research Project

Project/Area Number 24560245
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionGunma National College of Technology

Principal Investigator

花井 宏尚  群馬工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30312664)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsナノサイズ / 粉体 / 燃焼
Research Abstract

これまで行ったマイクロメーターサイズの粉体燃焼実験と比較するため,同じ熱性状を持つポリメチル酸メチル(PMMA)粉体(積水化成品工業製:製品名 テクポリマー)を準備し,粉体サイズ0.1,0.5および0.8ミクロンについて燃焼実験を行った.従来用いてきた粉体サイズは,5.0~200ミクロンである.燃焼容器は,内径200 mm,長さ250 mmの円筒形状で,これまでの手法を用いて容器内に均一に粉体を分散させた後,中心着火により球状火炎を伝播させた.その時の粉体分散の様子や伝播火炎の観察,圧力履歴の取得を行った.着火は,確実な火炎核形成と速やかな加熱を行うためニクロム線による方式を用いた.過熱温度1400℃以上,加熱時間100 ms以下で行う.
容器内への粉体分散後の粉体挙動の観察から,1.0ミクロン以下の粉体では,10秒以上粉体が浮遊していることを確認した.マイクロメーターサイズの粉体では,1~2秒程度で粉体の沈降が発生するため,分散から着火までの時間を変化させると圧力履歴に変化が見られたが,ナノサイズの粉体では,圧力履歴は着火時間に依存しなかった.
マイクロメーターサイズの粉体では,粉体が大きくなると希薄側可燃限界濃度が高くなることが分かっていたが,ナノサイズの粉体では,それぞれに大きな違いが見られないことが分かった.これは,ナノサイズ粉体では,粉体ガス化時間が火炎伝播時間に対し十分に短いため,限界濃度に影響を及ぼさないためである.火炎は,典型的な粉体火炎と同様に火炎後方で強い揮炎が見られた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

使用粉体について:これまで使用していた粉体と同じ熱性状を持つ粉体を積水化成品工業から0.1~1.0ミクロンサイズの試作として提供を受けることができた.
粉体の分散について:粉体のサイズが小さくなると凝集しやすくなり容器内への分散が困難になることが考えられたが,分散用空気圧力を増すことで凝集を解消し一様な分散を得ることができた.大きな粉体では,空気圧力を増すと粉体の運動量が増し,多くの粉体が壁面に衝突し,実質の浮遊粉体量が減少する結果が見れられたが,ナノサイズでは問題とならなかった.
希薄側可燃限界の測定:粉体の希薄側可燃限界を測定し,粉体のサイズに依存せずほぼ一定(この値はPMMAの単体であるMMAモノマーの可燃限界にほぼ等しい)の値を示した.粉体サイズが大きいと,粉体のガス化時間が着火時間を増大させ,サイズの依存性が出ることが分かっていたが,ナノサイズではこれが減少するためサイズ依存は見れらない予想通りの結果となった.
火炎の構造:希薄側可燃限界が一定となっていることから,火炎到達時には粉体のガス化がほぼ完了していることが予想される.しかし,火炎の観察では依然として火炎後方から強い揮炎の発光が見られるため,バーナー法を用いて詳細な火炎構造の解明を進める必要がある.
燃焼生成物:プラスチック粉体は火炎温度が高くNOx濃度も高い.また未燃性分も多くみられることがしばしばあるため,粉体サイズと濃度をパラメーターにこれらへの影響を調べる必要がある.

Strategy for Future Research Activity

密閉容器を用いた実験により,粉体の希薄側可燃限界を計測し,粉体サイズの依存性が無くなることを確認できた.次にノズルバーナーを用いた実験を進める.ノズルバーナーを用いた実験は,定常定在火炎であるため,火炎の観察が容易であり,PIVもしくはPDPAを用いることで,火炎前縁における粉体の挙動や粉体ガス化の様子を詳細に捉えることが可能である.
ノズルバーナーの実験で最も難しいポイントは,微細な粉体をバーナーに安定して供給することである.すでにホッパー式,ウォームギア式等の粉体供給装置を試作し実験準備を進めているがこれらを用いた方法ではナノサイズ粉体の安定供給は達成できていない.現在マイクロフィーダーと混合室を組み合わせた供給装置を開発しており,より結果が得られつつある.
ノズルバーナーは,出口直径20 mmで,バーナー出口への溶融プラスチック粉体の付着を防ぐため水冷とする.バーナー内部には,凝集粉体粉砕のため#10から#60の粗さを持つ金属メッシュを設置し,一様な粉体を生成する.また火炎の吹き飛び防止に水素パイロットを用い,火炎の安定化を図る.
火炎の観察は,CCDによる直接観察に加え,PDPAもしくはPIVを用い,粉体の挙動を詳細に捉える.特に,火炎前縁における粉体の気化過程や消滅位置に着目し,粉体のサイズ,濃度がこれらにどのような依存性を見せるのか明らかにする.これまで,数ミクロン以下において,粉体はガスの火炎と同様な挙動を見せると多くの文献では推測しているがこれを確認する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

これまで実施した密閉容器を用いた実験結果を公表するため,学会発表および学会誌への論文投稿を予定している.論文投稿費用および学会発表時の旅費等が必要となる.また密閉容器実験の火炎の様子はすべてノーマルビデオカメラおよびハイスピードビデオカメラで撮影しており,これら画像ファイルサイズは膨大である.そのためハードディスク等の記憶媒体を適宜購入する必要がある.
これまで試作を進めてきた粉体供給装置の本製作を行う.本校工場の工作機械を用いて製作するため,軸,歯車,モーター等の購入が主となる.粉体を製造するための費用が必要となる.また,粉体搬送気体の流量制御をマスフローコントローラーで行う予定であり,流量の異なる空気用2台および水素用1台を購入予定である.
現在積水化成品工業よりナノサイズの粉体を購入しているが,本来ナノサイズは在庫品ではなくオーダー品となるため高額となる.ノズルバーナーの修正を必要とする.現在,ガス燃料用のノズルバーナーを有しており,ノズル部は流用しつつ,粉体凝集粉砕部の追加,水冷化,パイロット火炎機構の設置が必要となる.

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Published: 2014-07-24  

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