2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気励振攪拌フィンを利用した高速・高性能振動型ミキサーの開発
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24560266
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岡部 匡 宮崎大学, 工学部, 教授 (00185464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小園 茂平 宮崎大学, 工学部, 教授 (10169302)
長田 尚一郎 宮崎大学, 工学部, 助教 (20218001)
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Keywords | 機械力学店制御 / 非線形振動 / 攪拌 / 振動利用 / 磁気ばね |
Research Abstract |
本研究で開発する振動型ミキサーは,磁気反発力により浮上した攪拌フィンを円筒状攪拌槽内において高振動数域で振動させ,各種物質の攪拌・混合工程の劇的な効率化をはかるものである.本研究の特徴は,機械系では避けられるべき共振現象を積極的に利用することである.さらに本研究で開発するミキサーは,攪拌フィンの駆動機構として,攪拌フィンに固定された磁石に作用する周期変動磁気力を利用する.本ミキサーにおいては,攪拌槽内の攪拌フィン駆動用の機械的部材が必要なく,攪拌槽内を周囲環境から完全に遮断できる.このため,従来の混合装置で深刻な問題となっていた混合液への外部からの不純物の混入や各種駆動用の各種機械部品に発生するカビの問題なども解決できる. 平成25年度の研究では,攪拌槽部と攪拌フィンの大幅な改良を行い,3個の攪拌ユニットを直列に結合した構造に改造を行った.また,磁気浮上フィンに作用する加振力の増大をはかるため,新たな加振機構を採用した.この加振機構では,強力なネオジム磁石を組み込んだ円盤を回転させ,この磁石の運動により磁気浮上フィンに固定した永久磁石に対し磁気を発生させる.昨年度までの加振方法に比較して,より強力な周期的加振力を発生させることが可能となった.振動試験を実施し,攪拌フィンの振動振幅を増加でき,この加振方式の有効性を確認した.また,上記のような加振用磁石の機械的運動を利用した攪拌フィンの加振方法の他に,電磁力を利用した振動型ミキサーについても設計を行った. さらに,液中で振動するフィンまわりの複雑な流体運動の数値シミュレーションを行うため,粒子法(SPH法)の計算理論に基づいた数値計算プログラムの開発を行った(開発中の段階).このプログラムの利用により,本研究で用いる振動フィンまわりの液体に運動を解析し,複雑な攪拌・混合メカニズムを明らかにすることが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.前年度の研究で試作したミキサーは,攪拌フィン3枚を有する攪拌槽を1ユニットとしたものである.平成25年度は,これを3ユニット直列に連結したミキサーに改良し,実際に製作した. 2.3ユニット直列結合型の振動型ミキサーにおいては,流体抵抗が増大するため,攪拌槽内の磁気浮上フィンへ作用する外部加振力の増加が必要不可欠である.このため,本年度は,より強力な反発力を発生させるため,ネオジム磁石を組み込んだ円盤を回転させて,周期的な磁気反発力を攪拌フィンに作用させる加振方式を採用した.昨年度の外部永久磁石の往復運動を利用した加振方式に比較して,より強力な周期的加振を発生させることが可能となった. 3.上記加振方式を利用した3ユニット直列結合した振動型ミキサーの攪拌フィンの振動実験を実施した.液中(水)における攪拌フィンの共振振動数を20Hz以上とすることができた.しかし,フィンの振動振幅は,目標値を実現することはできなかったため,さらに加振方式の改良が必要である. 4.加振用磁石の機械的運動を利用した攪拌フィンの加振方法のほかに,電磁力による加振方法を利用した振動型ミキサーの開発を行った.このミキサーは,攪拌槽外部に設置したコイルに流す交流電流の周期的変動を利用し,そのコイルに発生する電磁力の周期変動を利用して加振を行うものである.平成25年度は,攪拌フィンなどの運動部及び攪拌槽などの振動型ミキサーの設計を行い,具体的に試作機の完成まで行った. 5.本ミキサーの攪拌槽内での攪拌フィンの周辺流体の運動の解析を実施するため,粒子法(SPH法)による流体運動解析プログラムの開発が継続中である.いくつかの簡単な計算モデルにおける流体運動に対し,差分法や有限要素法による解析結果と照合などを終え,開発プログラムの有効性を確認している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.本ミキサーでは,攪拌槽内で,攪拌フィンを3枚が一体となって往復直線運動を行う攪拌部を1ユニットとして構成している.平成25年度のミキサーでは,これを3ユニット直列に結合したミキサーを設計・製作した.平成26年度は,さらに,このユニット数を増加させて,ミキサーの実用化に向けた改良を加えていく計画である. 2.平成25年度で製作した3ユニットタイプの振動型ミキサーにおいては,攪拌フィンの振動振幅が目標値に達することができなかった.これは,攪拌フィンに作用する加振力が不足していることが原因である.攪拌フィンに取り付けられた磁石にさらに強力な励振力を作用させて,攪拌フィンの振動変位の増加をはかる必要がある.このため,攪拌フィン駆動機構のさらなる改良を行う.攪拌ユニットの数をさら増設した上で,液中の攪拌フィンの共振振動数20Hz以上,かつ片振幅3mm以上の運動の実現を目標として,平成25年度で実施した回転円盤を利用した加振方式に改良を加える.使用するネオジム磁石の変更,攪拌フィンの運動機構などに改良を加える計画である. 3.攪拌フィンを電磁加振する方式の振動型ミキサーの試作機を完成させる計画である.次年度は,攪拌槽外部に設置する励振用外部コイルの詳細設計と製作,外部コイル電流制御用の電気回路の設計などを実施する計画である. 4.攪拌槽内の流体の運動解析のための粒子法(SPH法)の計算プログラムを完成させる.より多くの例題に対し数値計算を実行し,既存の解法による計算結果との整合性を検証し,本研究で作成したプログラムの信頼性を確認する.その後,開発したプログラムにより,攪拌槽内の流体運動の数値シミュレーションを実施し,振動フィンまわりの流体運動などを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度までの研究で,ほぼ振動型ミキサーの試作機を完成させた.しかしながら,現在基礎実験を終えた段階であり,まだ改良の必要がある.この改良を終え振動型ミキサーの仕様が決定次第,攪拌槽内の液中のフィンの計測システムを構築する計画である.この計測システムを,現在の基金の残預金を用いて整備する計画である.また,粒子法の計算プログラムについては,ほぼ完成し,実際に数値シミュレーションを開始する段階で,高速度演算が可能なコンピュータを導入する計画である. 平成26年度中の助成金は下記のように使用する計画である. (1)振動型ミキサー攪拌フィンの加振機構の改良のための実験用消耗品の購入及び部品加工費,(2)攪拌フィンの電磁加振機構の制作費,(3)液中攪拌フィンの変位計測のための高速度カメラ及び変位計測システムの導入費,(4)高速演算可能なコンピュータの導入費. なお,上記とあわせて,これまでの研究成果を公表するための経費に使用する.
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Research Products
(8 results)