2012 Fiscal Year Research-status Report
人の知覚運動特性を考慮した知能機械操縦系の操作支援技術
Project/Area Number |
24560308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
松尾 芳樹 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (90173806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 大輔 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (40458196)
関口 暁宣 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (80344612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 操作支援 / 知能機械 / EEG / 脳血流計測 / リード型操作器 / 協調的操作支援 / 力学的作業支援 / 人-機械協調作業 |
Research Abstract |
生活・作業支援用ロボットなど人が随意に行なう力学的作業を支援する機器の実用化が期待されている.これらの普及には非専門家が意のままに運用できる操作支援技術の確立が鍵である.そこで本研究では,直感的で操作性の高い情報提示法や操作入力系の実現を目標とし,脳波計や脳血流計測技術を利用した表示・操作系の評価や操作習熟度の計測,操作支援手法の開発を目的とする.今年度は初年度として,以下を中心に検討した. 1)操作支援のための脳波計測法:導入した脳波計による計測技術の習得をかねて,先行研究例を取り上げ追試を行なった.具体的には,事象関連電位を利用した機器操作の誤り判定の例を参考に,簡単化した実験を遂行した.その結果,定性的には同様の結果も得られたが,電磁ノイズや被験者の動きの影響を抑える計測手法が必須であることも再認識された. 2)リード型操作器:盲導犬のリード操作にならった移動ロボットへの操作意図伝達を目的に,人の直感的な操作を分析するための実験装置を6軸力覚センサを用いて作成した.そして,盲導犬に与える指示語の一部をリードへの自由操作として入力する課題を設定して実験を行ない,操作力ベクトルの空間・時間的な変化を調べた.その結果,操作パターンによる意図推定の可能性が明らかになったが,指示語によっては個人差や,異なる指示語間の類似性も見られた. 3)機構的条件の知覚運動特性への影響:人の自然な歩行には足部のアーチ構造が役立つとされている.そこで,2脚歩行ロボットの簡易シミュレータを作成し,力学的な効果と歩行運動への影響を調べ,ZMPや重心の自然な移行を促す作用を確認した.また,快適な睡眠を与える寝具の条件を探るために,寝返り動作の特徴をモーションセンサによる簡単な計測から分析する手法を実験的に検討し,ジャイロセンサを用いて医師が判定した特徴の一部を自動的に検出できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請時の予定では3つのテーマについて基本的な実験課題を設計し,早期に脳計測を含めた実験を行なう予定であったが,実際には初年度は納入された脳計測機器を活用した実験までには至らなかった.これは,脳計測手段の調査と機種選定,納入までに期間を要したことと,関係者の脳計測技術の理解と実験担当学生による機器使用法の習得に予定より多くの時間が必要であったことによる.また,電磁ノイズをはじめとする実験環境の改善や実験装置の安定した運用,作業課題におけるアーチファクトや誘導ノイズの削減など,通常の脳計測機器のままでは不十分で,多くの点で本研究の目的に合わせて計測システムそのものの改良の検討が必要なことも明らかになった.このため,助成期間内の検討課題や達成目標の見直しが必要となった.そこで,次年度以降の検討に備えて機器の購入も最小限に抑え,一部を繰り越すこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の結果を受けて,H25年度以降は,操作支援のための脳計測システム改良を新たに課題に含め,操作課題は基本的な2種類に絞った形に計画を変更する.すなわち,今後本研究は,以下の3点をサブテーマとして推進する. 1)操作支援のための脳計測システムの改良:知能機械システムの操作支援に利用できるような脳計測技術の確立を目的として,日常的な環境下で電磁ノイズや被験者の動作によるアーティファクトを抑えて安定に実験を行なうための計測手段の改善を行なう.具体的には,脳波計を覆う頭部装着型の電磁シールドを作成し,計測アンプを内蔵させて,伝送路へのノイズ混入抑制を計画している.これらは実際の操作支援に利用できる計測機器の開発につながる. 2)リード型操作器の直感的な操作を実現する脳計測情報の分析と応用:初年度に作成したシミュレータに,操作結果を実時間で示すアニメーションを加えることで,意図した操作が実現できているかどうかを被験者に提示できるようにする.これを使用して脳計測実験を行なうことにより,意図の達成の程度による脳計測情報の違いを分析し,誤り入力の判定・修正支援など,意図した操作を実現しやすくする操作支援法への指針を明らかにする. 3)移動体の操縦支援のための操作運動時の脳計測情報の分析と応用:ロボットと人による物体の協調搬送作業や移動ロボットの遠隔操縦における協調的支援を目的として,人の操作運動中の脳波や脳血流を計測し知見を探る.まず予備実験として,単独の被験者が操縦中にどのような情報が抽出できるか操作入力と脳計測情報の関係を調べる.次に,操縦中に外乱や障害物に遭遇した際の影響を分析する.さらに,2名による協調作業において,円滑に行なわれた場合と協調が阻害された場合の脳計測情報の違いについて検討する.作業者の脳計測情報を利用した協調的支援が最終目標である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は,上記の推進方策にしたがって当面H24年度に導入した機器の活用と改良を主に行ない,既存の設備を使用して実施可能な分析が進んだ段階で,改めて脳計測機器などの拡充を図ることとする.H25年度の実験は少人数の被験者による予備的なものとし,本格的な実験は最終年度に予定する.また,脳計測機器については急速に普及が進み,無線接続を備え特殊な実験設備を要しない多チャンネルの簡易脳波計も入手可能となる見通しが出てきた.このため,H25年度の研究費の使途としては,年度当初は脳計測システムの改善に要する消耗品類の購入,研究調査および発表のための旅費,実験協力謝金を主とし,各サブテーマの検討結果に応じて適切な時点で機器を選定して追加購入を行なう.
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[Presentation] Feature Analysis of Turn Over Motion for Adjustment of Pillow Height2012
Author(s)
Akinori Sekiguchi, Toshiaki Ishizawa, Shuori Yamada, Koji Mikami, Akifumi Inoue, Hiroshi Igaki, Satoshi Horiguchi, Yoshiki Matsuo, Daisuke Uragami, Tohru Suguro, Tohru Hoshi
Organizer
ICHS2012
Place of Presentation
Dajeon Convention Center,Korea
Year and Date
20120816-20120818
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