2013 Fiscal Year Research-status Report
新規な低温成膜法によるSiNx膜の作製と3次元ウェハ積層配線技術への応用
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24560361
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
武山 眞弓 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80236512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野矢 厚 北見工業大学, 工学部, 教授 (60133807)
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Keywords | 薄膜プロセス / TSV / 3次元集積回路 / 低温プロセス / 絶縁膜 |
Research Abstract |
3次元集積回路を実現する上でキーポイントとなるシリコン貫通ビア配線(Through Si Via: TSV)において,基板Siと配線とを分離する絶縁膜は,貫通ビア配線の信頼性にとって極めて重要である.近年,ビアをLSIを作製した後に作るビア・ラスト配線が理想的であるとされ,作製したLSIを劣化させないための低温プロセスでTSVを作製することが焦眉の急を要する課題となっている. 我々は,絶縁膜としてSiNx膜を念頭におき,従来プロセスより低温でかつ優れた絶縁バリア特性を示すSiNx膜の成膜を検討している.同時に,これまで低温では有用とされてきたPECVD法によるSiNx膜の成膜と反応スパッタ及びラジカル処理等を含んだ新たな手法によるSiNx膜の成膜を行い,成膜手法によるSiNx膜の特性の違いを明らかにするものである. これらの成果は,3次元集積回路の絶縁膜としての適用のみならず,有機ELディスプレイの保護膜,太陽電池関連のパッシベーション膜等としても適用可能であり,低温でSiNx膜を作製できることは様々な応用が可能な優れた研究となり得る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで主にPECVD法にて作製されてきたSiNx膜だが,PECVD法では組成・密度等のパラメータを大きく変化させることは難しく,どちらかというとピンポイント的な膜の特性を評価してきた.しかしながら,本研究では反応性スパッタ法とPECVD法という成膜手法を変えての検討,及び新たにラジカル窒化等を導入することで,広くSiNx膜の組成範囲を変化させることができ,SiNx膜中のどのようなパラメータがどの物性に影響を及ぼすのか,さらには成膜手法の違いによるSiNx膜の特性の差異等も明らかになりつつあり,優れた成果が得られてきている.
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Strategy for Future Research Activity |
スパッタ法を基本とした成膜手法により,予想以上の優れた成果が得られてきているため,今後はさらなる低温プロセスの導入が可能かどうかを検討する.そのため,現有設備に基板冷却機能を新たに導入し,基板冷却することによってもSiNx膜が得られるかどうかの検討を進める予定である. さらには,TSV構造体への成膜及びCu/SiNx/Si系の電気特性等の評価を行い,SiNx膜の絶縁膜としての特性を総合的に評価する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定では,CVD装置のガスラインを増設して,新たな原料を用いてSiNx膜の検討を行う予定であったが,反応性スパッタ法によるSiNx膜の成膜において,新たに独創的で新規性の高い結果が得られつつあるため,研究のスタンスを反応性スパッタ法に幾分シフトすることとなった.その中で,現有設備では基板冷却機構を有していないため,基板加熱なしとすることはできるが,スパッタ中の温度上昇を避けられない装置となっている.したがって,基板冷却機能を新たに現有設備に付加することで,これまでより一層低温での成膜が可能になることから,この機能を次年度に導入する予定である. 現在,基板冷却機能を有する新たな基板装着機構の大枠の設計が終了し,発注するのみの状態となっているので,次年度予算で早々に導入することが可能であり,さらにはこの導入により,基板を冷却した状態でのSiNx膜の成膜及びその特性評価が可能となり,研究のより一層の進展が見込める.
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Research Products
(14 results)