2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気計測にもとづく鉄鋼構造物の状態監視技術に関する研究
Project/Area Number |
24560520
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小島 史男 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環, 教授 (70234763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 裕之 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (30470256)
宇佐美 照夫 京都学園大学, 経済学部, 教授 (60456746)
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Keywords | 計測工学 / 非破壊検査 / 構造物健全性 / 経年劣化 / 金属疲労 / 磁性 / 信号処理 / 診断 |
Research Abstract |
研究初年度においては、磁気センサ単体による構造物機能劣化モニタリングの基本性能の確認を下記の手順で実施した.鋼材の劣化要因を歪に限定して、引張による均一な歪みを生じさせた鋼材を用意し,磁気特性との相関を確認することとした. 研究次年度においては,材料の経年劣化を模擬するために,研究初年度で準備した劣化プロセス再現試験体を用いて材料劣化進展に関する検出性能の評価を実施した.磁気特性から材料劣化を評価できれば非破壊評価への適用拡大が期待されるが,鋼材の磁気特性は材質により,同一な材質においても加工履歴等により異なる磁気特性を持つ.さらに,磁気的計測法は被検査対象の形状,計測条件の影響など,考慮すべき項目が多いことから,様々な材質,磁気特性の多方面からの解析により,本手法の実機適用への可能性が向上する.そこで,引張加重試験を実施した炭素鋼材に対し,材料歪みと電磁気特性との相関を調べることで,非破壊的に材料の劣化進行を監視する方法について考察した. 具体的には磁化器とインピーダンスメータを組み合わせて、鋼材歪みに敏感な電磁気特性について検討した.その結果,特定の励磁電流においては歪みとの相関が顕著に表れており,インピーダンス値が鋼材歪みの検出に鋭敏であることを確認した. これまで実施した研究において,バルクハウゼンノイズや残留磁束密度などの磁気特性が材料劣化に関して鋭敏であることが指摘されてきたが、非破壊検査への適用拡大は十分とはいえなかったが、本年度の実験で磁化器のインピーダンス特性が鋼材歪みを高感度に検出できることを確認した.このことから,次年度以降,励起電流の最適な励起電流を詳細に調査することで,非破壊評価への適用拡大の可能性が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
先行研究においては、鋼材の磁気特性と材質劣化に相関があることが明らかになっているが、これを非破壊診断に実機適用するには、測定方法の標準化が求められる.研究初年度においては、厳密な評価体系を構成する上で基本となる試験体の作成方法を確立することができた. さらに研究次年度においては、計測条件,試験体形状のパラメータを増やすことで,他の磁気特性に着目した実験を実施した.そこで,研究初年度の測定装置にインピーダンスメータを加え、歪み試験体に対して,インピーダンス測定を実施した結果磁化器のインピーダンス変化が材料劣化特性に極めて鋭敏であることを確認した。このことは材料の継続的な監視を通じて、鉄鋼材料の経年変化をモニタリングできる可能性を示したことを意味し,磁気特性を用いた非破壊的な材料診断手法の実機適用を目指す準備が整ったといえることから,当初の予想を超える成果といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目においては、センサネットワークとシミュレーションとの併用による構造物機能劣化評価法の確立にむけた取り組みを実施する.劣化診断を実現するには、さまざまな劣化プロセスに関する測定データを参照データとして利用する方法が考えられるが、実験により参照データをつくることは自由度が低く実用的とはいえない.そこで、測定時にオンラインでシミュレーションデータと照合できるような検査システムを構築するために、有限要素モデルを用いた劣化進展情報と検査データに関するデータベースを構築する.さらに最新のデータマイニング手法を導入することにより、構築されたデータベースと連動した材料劣化進展モデルを作成し、オンラインで自由度の高い劣化進展予測アルゴリズムの開発を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に実施した最終実験で見積もった消耗品の金額が実際より安く購入できたため、差額が生じた。 研究次年度における研究成果にもとづき、鋼材歪みと磁気特性の相関に関する最適な測定条件を確認することを目的として,追加実験の消耗品に充当する
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