2012 Fiscal Year Research-status Report
表層品質と環境要因に着目した寒冷地コンクリート構造物の予防維持管理技術
Project/Area Number |
24560570
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿波 稔 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10295959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫井 裕樹 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30453294)
月永 洋一 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124898)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土木材料 / 長寿命化 / コンクリート工学 / 維持管理工学 |
Research Abstract |
寒冷地におけるコンクリート構造物は,凍結融解作用により表層劣化(スケーリング)を受けやすい環境下にある.一方で,コンクリートのスケーリングは,表層品質や塩化物を含めた供用環境の影響を大きく受けることが知られており,合理的な予防維持管理を実施するためには,それらの要因を適切に取り入れることが必要となる.そこで,本研究は,凍結防止剤の散布などにより,塩化物の作用を受ける寒冷地コンクリート構造物において,その表層品質と環境要因に着目し,潜伏期と進展期の劣化進行予測を核とした予防維持管理技術を提案するものである.平成24年度の研究成果の概要を以下に示す. 1.部材厚さの異なるコンクリート試験体(W/C=45%)を作製し,表層品質に及ぼす影響を評価した.その結果,部材断面厚さの増加に伴い,最終ブリーディング量が増大すること,表層強度は低下すること,吸水率や中性化深さ,塩化物イオンの浸透深さは増加する傾向にあることを確認した.また,内部(表面から75mm位置)と比較して表層部は約4倍ほどスケーリング量が増加し,脆弱層の影響が顕著に認められた.さらに,市販されている養生マット(6種類)や表面含浸材を使用し,それらがコンクリートの表層品質や耐久性に及ぼす効果についても検討した. 2.青森県内において80年経過し凍害と塩害の複合により老朽化したコンクリート橋梁,および76年経過し塩害により老朽化したコンクリート橋梁の詳細調査(各種非破壊試験,トラックによる静的載荷試験,3Dスキャナを用いた橋梁の形状計測,コンクリートコアによる耐久性試験等)を実施した.さらに,同橋梁よりRC撤去桁を大学に搬入し,曲げ耐荷試験を行い,破壊状況を観察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表層品質がコンクリートの物質侵入抵抗性や耐久性(中性化,塩分環境化におけるスケーリング抵抗性等)に及ぼす影響について明らかにした.しかし,スケーリング量の限界値の設定については,さらに検証が必要と考えられる.また,老朽化した実橋のフィールド調査を通じて,コンクリート橋の耐久性や安全性に係わる各種データを取得することができた. 以上より,本研究はおおむね順調に進展しているものと判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,老朽化した実橋の詳細調査(平成24年度)より得られた各種データの詳細な解析を進めることとしている.また,平成25年度は調査対象橋梁を増やし,質・量ともにデータの蓄積を図りたい.これにより,フィールド調査に基づき寒冷地コンクリート構造物の表層品質とスケーリング抵抗性の関係を評価する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施した各種試験・調査のデータ分析を行う.
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Research Products
(13 results)