2014 Fiscal Year Research-status Report
表層品質と環境要因に着目した寒冷地コンクリート構造物の予防維持管理技術
Project/Area Number |
24560570
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿波 稔 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10295959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫井 裕樹 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30453294)
月永 洋一 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124898)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土木材料 / 長寿命化 / コンクリート工学 / 維持管理工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷地におけるコンクリート構造物は,凍結融解作用により表層劣化(スケーリング)を受けやすい環境下にある.一方で,コンクリートのスケーリングは,表層品質や塩化物を含めた供用環境の影響を大きく受けることが知られており,合理的な予防維持管理を実施するためには,それらの要因を適切に取り入れることが必要となる.そこで,本研究は,凍結防止剤の散布などにより,塩化物の作用を受ける寒冷地コンクリート構造物において,その表層品質と環境要因に着目した予防維持管理技術を提案するものである.平成26年度の研究成果の概要を以下に示す. 1.寒冷地域において冬季および夏季に施工されたコンクリート構造物(橋梁下部工およびボックスカルバート)の表層品質調査を実施した.調査項目は,目視評価(外観の変状)および表層透気試験とした.その結果,夏季に施工された構造物よりも冬季に施工された構造物は,コンクリート脱型後の乾燥の影響を受けやすく,表面微細ひび割れの発生にともない表層品質が低下することを明らかにした.このことから,冬季に施工されるコンクリート構造物の表層品質を向上するためには,脱型後の後養生において保温・保湿対策が有効であることが示唆された. 2.凍結融解環境条件がコンクリート中への塩化物イオン浸透性に及ぼす影響を評価することを目的に,最低温度,凍結時温度勾配,試験溶液濃度を実験パラメータとして検討を行った.その結果,凍結融解環境下では塩化物イオン浸透性が促進することが明らかとなった.また,スケーリングが塩化物イオン浸透性に及ぼす影響は,温度条件により異なることを確認した. 3.プレストレストコンクリート桁を対象として硬化コンクリートの気泡組織と耐凍害性の調査を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寒冷地域におけるコンクリート構造物のフィールド調査を通じて,その表層品質に及ぼす施工要因や環境要因の影響について評価した.さらに,室内試験により凍結融解環境やスケーリングの発生がコンクリート中への塩化物イオンの侵入に及ぼす影響を明らかにしている. 以上より,コンクリート構造物の予防維持管理のための知見が蓄積されており,本研究はおおむね順調に進展しているものと判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成24年度に実施した老朽化したコンクリート橋梁の詳細調査,平成25年度および平成26年度に実施した寒冷地域のコンクリート構造物の表層品質調査,さらに凍結融解作用下でのコンクリート中への塩化物イオンの侵入およびコンクリートのスケーリング抵抗性に関する成果をもとに,予防維持管理技術の構築を進める予定である.
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Causes of Carryover |
天候不良により一部のフィールド調査が中止となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コンクリート構造物のフィールド調査に使用する.
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Research Products
(9 results)