2013 Fiscal Year Research-status Report
RC床版内における水平ひび割れ発生メカニズムの解明
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24560581
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大西 弘志 岩手大学, 工学部, 准教授 (70283728)
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Keywords | 水平ひびわれ / RC床版 / 収縮ひずみ |
Research Abstract |
本研究課題においては、RC床版内部に発生する水平ひび割れの発生メカニズムに大きく影響するファクターとしてRC床版のコンクリート打設直後の若材齢時にコンクリートに発生する各種収縮ひずみの存在に着目して研究を進めている。本研究課題で特に着目しているのはRC床版の中でも圧縮側鉄筋の位置で発生する水平ひび割れである。このひび割れは一般に点検で発見することは不可能であり、さらにRC床版の曲げ剛性を大幅に低下させることから、道路橋の維持管理において特に重要であると考えられている。 平成24年度には小型床版モデルを用いたコンクリート打設実験を行うと同時に、熱伝導解析に基づく温度応力解析を実施した。その結果、圧縮側鉄筋の周辺では特に厚さ方向に発生するひずみがこれまでに知られていた長手方向(鉄筋に沿った方向)のひずみとは全く異なる挙動を示すことを確認することができている。平成25年度には平成24年度の実験結果に基づき、さらに詳細なFEMモデルを構築し、RC床版内部、特に圧縮側鉄筋の周辺でどのようなひずみ挙動が発生しているのかを推定するための温度応力解析を実施した。その解析の結果として、圧縮側鉄筋の周辺には鉄筋を取り囲むように引張ひずみが発生する領域が存在する可能性が高いことが明らかになってきた。ただし、このとき計算で求められたひずみの大きさは、必ずしも収縮ひずみのみでひび割れが発生するとは言い切れない程度の大きさであり、RC床版が初期欠陥としてのひび割れを抱えているという状況にはないことが確認できた。今後は実際の水平ひび割れの発生する状況について考察するために若材齢時の収縮ひずみと外力(輪荷重)によるひずみとの組み合わせを考えた検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、本研究課題では床版の研究に不可欠な輪荷重走行試験機を活用することを考えていたが、研究代表者の異動に伴い輪荷重走行試験機を活用できない研究環境となったことから、輪荷重走行試験機を使わない方向で研究を進めてきた。しかしながら、有限要素解析に基づく研究では実際の力学的環境を再現する面で限界があり、何らかの形で輪荷重が関与している力学的環境の再現を実現する必要性が生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目標を達成するためには有限要素解析による検討のみではなく、実際にRC床版が置かれている力学的環境を再現する必要が生じている。そのため、今後は小型ではあるが輪荷重を載荷し、その走行を再現できる試験機を構築し、実際にRC床版への輪荷重の走行載荷を行うことにより、RC床版内部のひずみ分布状態や水平ひび割れの発生部位を特定し、水平ひび割れの発生メカニズムを明らかにすることを目指して研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では有限要素解析に基づく研究を展開してきたが、年度半ばにおいて実際の力学的環境の再現を行う必要性があるとの結論に達していたが、その時点で再現実験に使用する試験機を構築できるだけの残額がなかったので、次年度の予算と合わせて使用することとした。 平成26年度には平成25年度の残額(1,046,400円)と合わせて1,200,000円を試験機の構築に使用し、300,000円をRC床版試験体の作製、残額(1,046,400円)をひずみゲージ等計測センサー類の購入に充てる計画である。
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