2012 Fiscal Year Research-status Report
離半島地域における小規模橋梁の実態調査と三次元写真計測・FE解析による健全度評価
Project/Area Number |
24560585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森田 千尋 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60230124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 浩 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20157324)
奥松 俊博 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346928)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 長寿命化 / 維持管理 / 小規模橋梁 / 三次元FE解析 / 三次元写真計測 / ワッペン式暴露試験片 |
Research Abstract |
本研究においては,離半島地域における小規模鋼橋の腐食状況の実態調査を行い,それをデータベース化し,代表的な数橋にはワッペン式暴露試験片を設置し,腐食環境および腐食減耗量を測定・予測する。さらに,腐食板厚を非接触で測定するとともに,全体モデル化した腐食鋼橋の耐荷力解析を行い,塗装橋における塗替え不要の可否を検討する。本年度は,次の3つの準備的な研究を並行して進めた。 (1) 離半島地域における小規模鋼橋の実態調査:長崎県内の離島にある橋長15m以下の鋼橋梁44橋を対象とし,管理者を特定して,橋梁台帳あるいは実測により橋梁諸元を調べた。さらに,国土交通省の「橋梁定期点検要領(案)」に準じて実際に点検を行い,腐食状況を調査しデータベース化した。点検結果より,昨年度調査した長崎市内の小規模鋼橋梁の健全度と比べ,離島の小規模鋼橋梁は健全度が顕著に悪いことを確認した。 (2) ワッペン式暴露試験片の設置:調査した橋梁の中から,腐食環境が異なる4橋(山間部2橋,海岸部2橋)を選び,普通鋼と耐候性鋼のワッペン式暴露試験片をウェブやフランジ,内桁や外桁に設置した。ワッペン式暴露試験片は,6ヶ月経過のものを採取し,腐食減耗量を調べた結果,離島の山間部の減耗量は市内の海岸部と同程度であり,離島の海岸部の腐食減耗量はさらに大きい結果が得られた。 (3) 長崎県内橋梁の三次元FE解析モデル化:長崎県内にある構造形式の異なる複数の橋梁の三次元FE解析モデルを構築した。構築したモデルの妥当性においては,レーザドップラ速度計を用いた振動計測結果と比較し,ほとんどの解析モデルで固有値解析の結果が振動計測結果と同程度の値を示しており,実橋梁の振動特性を高精度にシミュレートすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にあるように,離半島地域における小規模鋼橋の腐食状況の実態調査とデータベース化,さらにワッペン式暴露試験片の設置については,順調に進展している。 当初の予定では,三次元写真計測の板厚測定への拡張を平成24年度に行う予定であったが,今後の研究をスムーズに実施するため,平成25年度実施予定の長崎県内橋梁の三次元FE解析モデル化を前倒しで実施した。 そのため,「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については,平成24年度に得られた3つの準備的な研究をもとに,腐食環境・腐食減耗量の測定・予測,腐食桁の板厚測定および三次元FEMを用いた耐荷力解析を行う。具体的には,以下のように進めていく。 (1) 腐食環境および腐食減耗量の測定・予測:1年暴露および2年暴露のワッペン試験片の腐食減耗量から,長期的な腐食減耗量を予測する。また,ACMセンサーによるデータにより,腐食環境を明確にする。これらの結果から,腐食環境の異なる橋梁,部位毎の腐食減耗量を予測し,塗装橋における塗替え不要の可否を検討する。 (2) 腐食桁板厚の三次元写真測定:まず,三次元写真計測による腐食桁板厚の測定を試みる。さらに,平成24年度調査した橋梁の中から腐食が進行している橋梁に対して,三次元写真計測システムによる腐食桁の板厚測定を実施し,あらゆる架設状態における橋梁の板厚が計測可能なシステムを確立する。 (3) 三次元FE解析による腐食桁の耐荷力評価:平成24年度に構築したFE解析モデルに,実橋梁を板厚計測した結果を入力し,汎用有限要素解析ソフトにより耐荷力解析を行う。健全な橋梁と腐食が進行している橋梁の耐荷力の比較を行い,腐食度合いの寄与率を明確にする。 以上の結果をもとに,離半島地域における小規模鋼橋の腐食状況を把握するとともに,その健全度評価について得られた結果を取りまとめ,成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,大規模数値計算と写真計測により得られたデータの整理・分析のため,数値解析用・データ整理用パソコンを購入する。 また,ACMセンサーを用いた腐食環境評価を本格的に実施するため,ACMセンサーを多数購入予定である。 さらに,離島にある小規模鋼橋の詳細点検,腐食環境調査,さび厚計測およびワッペン式暴露試験片の回収など,現地調査旅費に主に使用する。
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