2013 Fiscal Year Research-status Report
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24560685
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金尾 伊織 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (80372564)
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Keywords | 横座屈 / 立体骨組 / 横補剛 / 変形性能 |
Research Abstract |
2013年度は,2012年度に実施した横補剛を有する小型立体骨組実験の数値解析を実施した.有限要素法による詳細な解析を行った結果,骨組挙動は概ね予測できることを確認し,横補剛に発生する軸力や曲げモーメントの大きさは,モデル化の影響が極めて大きいことを確認した. さらに,梁―柱有限要素法による数値解析プログラムを用いて,1層1スパン立体骨組を対象とし,骨組内の梁の横座屈長さ,横座屈耐力および変形性能に関するデータを収集,整理した.柱および梁断面,梁スパンをパラメータとして変化させ,その影響を解析的に示した.その結果,柱に角形鋼管とH形鋼を用いた場合では,座屈長さおよび座屈後挙動に影響があり,H形鋼柱を有する骨組では,ねじり剛性が角形鋼管に比べて低いため,梁の座屈長さが長くなり,H形鋼柱で0.65L,角形鋼管柱で0.55Lであった.座屈後の挙動についても,H形鋼柱を有する骨組では,横座屈発生後の骨組耐力の低下が,角形鋼管柱の場合と比較して大きいが,骨組耐力の低下は,梁の耐力低下と比較して極めて小さく,横座屈発生が直ちに骨組耐力の低下につながらないことを示した.一方,柱脚がピンの場合の骨組耐力は梁耐力に依存するため,横座屈発生後急激に耐力低下することを確認し,柱脚の固定度が骨組耐力に大きく影響することを示した. また,骨組内の梁の変形性能に関してもデータを整理し,H形鋼柱を有する骨組内の梁の変形性能は,角形鋼管柱を有する骨組内の梁の半分程度しかないことを示すと共に,単純梁の変形性能に比べると,塑性変形能力Rにして5程度向上することを確認した.これらの成果をまとめて,構造工学論文集へ投稿し採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年に実施した小型骨組模型の静的実験の数値解析を実施し,現在,詳細な検討を継続して行っている.数値解析のモデル化の妥当性について確認し,今後は,詳細な部材応力の検討など,実験では十分には検討できない点を明確にしていく予定である.さらに,動的実験の数値解析を実施しており,現在モデル化の詳細な検討を行っている.実験結果については,すでに2013年度の日本建築学会近畿支部研究報告会および全国大会で報告しており,実験に関する検討は,数値解析による詳細な検討を残すのみである.実験に関する検討は,概ね90%の達成度である. 数値解析については,申請者が開発しているFERT-3Pに局部座屈を考慮できるように拡張する目的で式展開を進めているが,立体骨組への適用が難しいことを確認した.そのことを踏まえ,立体骨組の大変形挙動について,局部座屈がそれほど大きな影響を与えないものとして,FERT-3Pを用いて柱と梁の剛比をパラメータとした数値解析をさらに進めた.柱の断面形状の違いによって骨組内の梁の横座屈耐力および座屈後挙動に差異が生じることを確認し,骨組内の梁の座屈長さの評価方法や,骨組内の梁の変形性能を整理して示した.さらに,柱脚部の固定条件が骨組挙動に大きな影響を与えることを示し,これらの成果をまとめて,構造工学論文集へ投稿し採択された.25年度の数値解析に関しては,概ね予定通りであり,全体としての達成度は70%程度である.
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は最終年度であるため,データの整理と指標の作成を目的とする. 現在,梁の最適な補剛方法の検討を進めており,この補剛方法の骨組内の梁への適用を検討する.骨組内の梁の変形性能に関して数値解析データを収集し,提案する横補剛方法を骨組内の梁に適用した場合の効果と必要補剛剛性,補剛力の検討を解析的に進め,骨組内の必要補剛間隔,必要補剛剛性,必要補剛力を明確に示す. また,立体骨組について直交梁の影響を考慮する目的で,直交梁をパラメータとした数値解析を実施する.この解析には,解析精度を検証したFERT-3Pを用いてデータを収集する. さらに,立体骨組の地震応答解析を実施し,地震時挙動の特性を明確にすることを目指す.地震時の梁の横座屈挙動および骨組の変形能力を明確にすることで,静的挙動と動的挙動の違いを示す.地震波をパラメータとして,耐力,最大応答および梁の面外変形をデータとして算出し,想定される層間変形角がどの程度であるかを検討したうえで,静的挙動における耐力および面外挙動との違いを比較する.その上で,動的挙動を考慮した骨組の変形性能を指標化することを目指す. 2014年度は,2012年度に実施した実験,2013年度に実施した数値解析データおよび実験データの整理を行い,骨組の変形性能を検討する基礎となるデータを作成する予定である.これらの成果をまとめて,論文等に投稿し,最終成果としたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度にソフトウェアの購入を考えて、PCのスペックを落としたため。 2014年度は,立体骨組の梁の変形性能に関する数値解析を進めてデータの収集に努める.また,小型模型実験の数値解析を進める予定であり,その過程において,小型骨組実験の追加実験を行う可能性がある.そのため,小型模型実験の部材の製作費用,数値解析用ソフトウェアの購入を予定している.また,日本建築学会で発表予定であり,これまでの成果をまとめて論文投稿も予定している. 以上より,ソフトウェアの購入,追加実験のための部材製作費,学会への旅費,論文投稿料などに使用する予定である.また,次年度使用分は,ソフトウェアなどの購入に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)