2012 Fiscal Year Research-status Report
3DCAD対応数値シミュレーションを取り入れた建築環境設計の授業プログラムの開発
Project/Area Number |
24560711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
梅干野 晁 放送大学, 教養学部, 教授 (50108213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 真人 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 研究員 (30581376)
円井 基史 金沢工業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80508341)
中大窪 千晶 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30515143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 設計製図 / 電子教材 / 教育支援 / 授業プログラム / 数値シミュレーション / コミュニケーションツール |
Research Abstract |
本年度は,筆者等がこれまでに実践した既存の授業から課題点を抽出し,設計製図のための建築環境設計の授業プログラムのアウトラインを示した。そして,建築環境設計に関連する情報を統合する電子教材を試作すると共に,授業進行を補助するPCのWebブラウザを活用した教育支援ツールのプロトタイプを開発した。 まず,海外の大学の建築学科で行われている教育体制・授業内容を調査・分析した上で,本研究の授業プログラムの基本構成として,「スタジオ型の設計製図」を基本に「電子教材を使った講義」と「Webツールによる空間形態と構成材料と表面温度の関係の検討する演習」を付加した半期(7コマ)の授業を提案した。 続いて,電子教材の作成を目的に,GIS・シミュレーション結果・放射カメラにより撮影された熱画像など建築環境設計に関係する異なる形態のデータを一つにとりまとめることが可能なツールを検討し,電子書籍アプリケーション上で動作する電子教材を試作した。 一方,授業実践の一環として,本年度は3D-CAD対応熱環境シミュレータ(以下,シミュレータ)を授業内での円滑な運用を目的に,学部3年生を対象に環境に配慮した建築・都市の設計提案を課題にシミュレータを用いた3種類の演習授業(「建築環境実験・演習II」(3時間×4週,約30人×2ターム),「環境建築」(3時間×8週,60人),「コアゼミ」(12時間,11人))を金沢工業大学で行った。アンケート調査より,学生は課題や授業プログラムに対して概ね良好な感想も持ち,課題を通して刺激や意欲・意義を感じていたことを確認した。 また,授業進行を補助する教育支援ツールの開発を目的に,3D-CAD対応熱環境シミュレータの計算結果を,Webブラウザを用いて可視化し,教員・学生が結果を共有するツールを開発した。本ツールは,現段階では建物単体レベルなら動作する段階まで開発が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的を「設計製図のための建築環境設計の授業プログラムの開発」と設定した上で,研究ターゲットを,「大学の授業で3D-CADの操作方法を習得した後の学部生(2 or 3年生)」に限定した。そして開発する授業プログラムの基本構成を,「スタジオ型の設計製図」を基本に「電子教材を使った講義」と「Webツールによる空間形態と構成材料と表面温度の関係の検討する演習」を加えた半期(7コマ)の授業の実施に設定した。授業の受講者のテキストの電子教材化は,GIS・シミュレーション結果・放射カメラによる熱画像など建築環境設計に関係する異なる形態のデータをとりまとめ統合することが可能となる。そして電子教材の開発と同時に授業方法のガイドブック(50頁程度)も用意することで,指導者にも対応することも可能となる。 またシミュレータの授業内での円滑な運用を目的に,学部3年生を対象にシミュレータによる3種類の演習授業(建築環境実験・演習II(3時間×4,約30人×2ターム),環境建築(3時間×8,60人),コアゼミ(12時間,11人))を行い,シミュレータの操作・習熟に要する時間および各作業段階で学生が直面する課題点を明らかにした。本年度の授業で得られた知見を元に,次年度以降,多人数授業へ本格的に展開する予定である。また,今年度実践した授業の成果を学会発表した。 当初は1年以上かかる予定であった教育支援ツールの開発は,授業の中で,設計変更等が熱環境にもたらす影響を,専門的な操作を必要せずに体験できるプリ処理の構築を行った。構築したツールを用いて,今後学生への試用を行い,ツールの問題点の抽出を行っていく予定である。 以上より,当初の予定通りに研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトは,大学の建築学科の既に3D-CADの操作方法を習得している学部生を対象に,地域の気候特性を活かした「建築環境設計」の基本的な概念を学ぶ授業プログラムおよびその教材とツールを開発することを目的としている。本年度試作した授業プログラムを次年度は試行し,次々年度に精査する。 次年度は,電子教材の作成を継続すると共に,環境要素に関する知識の更なる定着を目的に,簡易的な実測より周辺の環境要素を把握する演習の導入も検討する。多人数を対象とした授業プログラムの開発では,研究分担者(髙田)が非常勤講師を務める大妻大学の学部3年生(100人規模)を対象に行い,アンケート結果より演習の効果を検討する。また研究分担者(円井)の所属する金沢工業大学では学部3年生の正規授業において,30人規模,週3時間×4週間で3D-CAD対応熱環境シミュレータを導入した建築環境設計の授業を展開する予定である。またWebツールに関しては,研究分担者(中大窪)の所属する佐賀大学において 3年後期の学部生を対象にパイロット授業を行い,そこで得られたデータを元に修正・フィードバックする予定である。また現段階ではタブレット型PCの使用は想定してはいないが,最終的には現在開発している電子教材に統合される方向性も見据えて作業を行う。 次々年度は,これらの授業で得られる結果を元に,電子教材および授業プログラムを改良し,更に試行する予定である。具体的には,開発した電子教材を使用し,100人程度の多人数を対象にした建築環境演習の授業,および20人弱の少人数を対象にした建築環境設計の授業をそれぞれ実践し,開発した授業プログラムの有効性を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究担当者である梅干野は,研究を統括する関係から各地に出張するため,繰越金193,466円を加えた予算643,466円のうち,物品に150,000円,旅費に183,000円を計上している。また研究分担者による電子教材作成の補助を事務員に委託するため,謝金に270,000円を計上している。その他,資料の購入に40,466円使用する予定である。 研究分担者である髙田は,電子教材の開発・実践に向けた具体的な作業に取りかかるため,繰越金100,000円を加えた予算550,000円から,タブレット型PC等の購入費として物品に170,000円を計上している。また建築学会への参加や金沢・佐賀への出張費として旅費に150,000円,実験演習でのアンケート調査の集計に雇う事務員への謝金に100,000円, その他に資料購入および論文投稿等の必要経費として130,000円を使用する予定である。 研究分担者である円井は,開発する授業プログラムを実践するため,繰越金173,405円を加えた予算423,405円からデータ収集や学生への謝金に190,000円を計上している。また授業の円滑な進行に向けてタブレット型PC数台の購入を予定しており,物品に152,000円を計上している。印刷物の作成等に必要な雑費として,その他に81,405円を使う予定です。旅費は所属組織より提供されるため,研究費に計上していない。 研究分担者である中大窪は,前年度に開発したWebツールを実際の授業で運用するため,繰越金229,190円を加えた予算479,190円から,専用サーバ整備として物品に205,000円を計上している。出張用に旅費105,000円を,開発したWebツールを用いたプロト授業の研究協力員への謝金に130,000円を計上している。授業内の印刷物用として,その他に39,190円を使う予定である。
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Research Products
(1 results)