2013 Fiscal Year Research-status Report
事前不確定性に基づく価値管理モデル構築にむけた動的な建築企画実務プロセスの体系化
Project/Area Number |
24560773
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
木多 彩子 摂南大学, 理工学部, 教授 (90330357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30252597)
飯田 匡 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40335378)
|
Keywords | CSR活動 / 用途変更 / 建築価値 / ビジネススキーム |
Research Abstract |
建築の長寿命化に対応し、事前不確定性を前提とした長期的な建築の価値管理が、重要であり急務である。本研究では実務プロセスにおける具体的議論として、関係者が建築事業遂行にあたり①不動産価値のみならず広義の建築の価値をどのように捉えているのか、②連続的に複雑に変化していく条件に対応する解答をいかに生み出しているか、の2点を検討している。2013年度の国内調査は、価値の転換に寄与する具体的な手法に着目し、①では、世界的な評価機関から一定の評価を得たCSR(corporate social responsibility)活動のビジネススキームから建築空間を手段とした事業特性を概観した(海外調査の事前リサーチ)。得られた情報から、企業の状況に則した独自プログラムの実行を司るビジネススキームの未整備が推測され、海外調査の目的を明確化した。 ②では、2012年度から継続調査で、2013年度は近年においてブライダル施設へと用途変更した建築物の特徴と課題を明確化した。また、かねてより長期的な建築の価値管理ビジネススキームとして注目しているドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州にて、IBAエムシャーパーク以後の事業継続と管理について海外調査を実施した(ドルトムント市、エッセン市)。本調査ではIBAの理念に受けた近年の実践事例を訪問し、行政、民間団体、現場担当者等に事業運営の経緯と課題を聞き取った。建築や都市における価値の転換や新しい価値の付加に対するIBAの効果として、次の知見を得た。1)環境的資源は保存するという前提が説明なしで共有されるようになった。2)古い建物をコンバージョンする価値観を広めた。3)公共デザインはデザインコミッションによる審査が通例化した。4)大きなプロジェクトは近隣自治体で共同開発することが一般化し、都市間競争は都市間協働へ転換した。但しこれは近年薄れつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2013年度に計画していた調査はほぼ予定とおり遂行し、さらに2014年度に予定していた海外調査を2013年度3月に前倒しで実施した。国内調査については、CSR調査および2012年度から継続する用途変更調査から、海外調査の目的を明確化し、質問項目の精査ができた。 海外調査では、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州でのヒアリング調査を実施した。当該調査では、長期的な建築の価値管理ビジネススキームを把握するための重要なキーワードが浮かび上がり、2014度につながる成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、2013年度同様に国内調査を2つの視点から進める。国内調査は、2013年度のCSR活動調査で得られた情報を基に、広義の建築の価値をビジネススキームとして確立する可能性とその阻害要因をヒアリング調査により把握する。また、用途変更の継続調査では、2012年度2013年度の調査データをもとに、連続的に複雑に変化していく条件に対応する実質的手法をハード・ソフトの両方から探る。 さらに、2013年度のドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州のヒアリング調査内容を整理し、加えて、現地大学研究機関と連携し、最新情報を入手しながら成果を広くまとめる。最終的には、国内調査および海外調査の課題と可能性を照合し、最終年度としてこれまでの成果全体を取りまとめ、日本における事前不確定性を前提とした長期的な建築の価値管理の方向性を考察する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度に計画していた調査はほぼ予定とおり遂行し、さらに2014年度に予定していた海外調査を2013年度3月に前倒しで実施した。これは2014年度が最終年度であるため、全研究成果のとりまとめと考察に十分な時間を費やすためである。2013年度国内調査については、CSR調査および2012年度から継続する用途変更調査から、海外調査の目的を明確化し、質問項目の精査ができた。 2013年度3月の海外調査では、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州でのヒアリング調査を実施した。当該調査では、長期的な建築の価値管理ビジネススキームを把握するための重要なキーワードが浮かび上がり、2014年度につながる成果が得られた。 かねてより長期的な建築の価値管理ビジネススキームとして注目しているドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州にて、IBAエムシャーパーク以後の事業継続と管理について海外調査を2013年度3月に実施した(ドルトムント市、エッセン市)。本調査ではIBAの理念に受けた近年の実践事例を訪問し、行政、民間団体、現場担当者等に事業運営の経緯と課題を聞き取った。
|
Research Products
(3 results)