2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24560786
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
三浦 要一 高知県立大学, 文化学部, 教授 (70305803)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民家 / 平面 / 住宅規模 / 住まい方 / 明治前期 / 徴発物件資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、徴発物件資料を分析するための指標と新たな民家研究の可能性を検討した。 1.下図とみられる「徴発下調」(京都府北村);主屋に加えて敷地内の附属屋を書き上げていた。下図は住宅の平面構成、土蔵などの附属屋を含む家屋構成、便所や風呂などの住宅設備の保有状況が判明した。徴発物件資料の下図が発見された場合、平面類型と家屋構成、住宅設備の保有に関する分析のための指標を検討した。 2.清書された徴発物件資料である「徴発調綴」(京都府北村)と「家屋絵図面」(徳島県漆川村);ともに実測調査による図面が掲載されているわけではなく、どのような分析が可能であるかを検討した。最初に村内のすべての平面の類型化をおこない、京都府と徳島県において実施された民家緊急調査による遺構調査と比較して考察を加えた。つぎに住宅の平面類型と坪数、桁行と梁間の規模の関係を分析し、住宅規模を明らかにした。さらに類型化した平面ごとに、寝室の位置や家族の人数から住まい方について明らかにした。 3.民家研究の新たな視点の検討;戦後に建築史研究が対象とした民家は、地主クラスに偏重し、現存遺構に比重をおいた調査に疑問が出されているが、徴発物件資料は遺構が現存しない民家の平面、規模や住まい方を明らかにすることができる資料である。その有用性については、以下の5点を指摘できる。第一に、明治前期の同一年代における一町村内の平面の諸相をトータルに把握することができる。第二に、近代化を遂げる以前の民家の平面について検討を加えることができる。第三に、町村内のすべての民家の平面構成に加え、住宅規模を明らかにできる。第四に、寝室の位置や家族の人数から住まい方の一端が明らかになる。第五に、土蔵などの附属屋の所有状況に加えて住宅設備について分析ができ、明治前期における住宅事情を明らかにすることができる。
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Research Products
(1 results)