2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560867
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
亀山 眞由美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 研究領域長 (80353994)
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Keywords | 環状配位錯体 |
Research Abstract |
本課題は、マンニトールとホウ酸、ユウロピウムの各水溶液を中性条件下で混和することにより自発的に形成する配位錯体 [(Man-B)3-Eu] を基に、糖アルコール、ホウ素、希土類で構成される安全性の高い水溶性蛍光錯体の開発に向けて、基礎的知見を得ることを目的としている。 H25年度は、前年度に引き続き配位錯体 [(Man-B)3-Eu] の精製条件の検討を行った。 前年度、低分子分画用のゲル濾過カラムにより、タンパク質等の分離に適用される溶離条件(0.2 M NaCl 含有0.1 Mリン酸緩衝液)で、配位錯体 [(Man-B)3-Eu]と原料を分離し精製試料を蓄積したが、濃縮操作で塩濃度が上昇したことにより錯体構造が維持されなくなった。H25年度は塩濃度を下げたHPLC条件で検討を行った。 HPLCの検出器として、UV吸収を持たない不揮発性成分でも高感度に検知できるNQAD(Nano Quantity Analyte Detector)を資生堂社から借り受け、原料と生成物の分離を確認した。塩濃度がゼロでも低濃度試料であれば分離が可能(保持時間:配位錯体 4.79分、EuCl3 5.15分、マンニトール 6.34分)であったため、低濃度試料を用いて分画を繰り返した。その結果、マンニトールを全く含まない試料を得ることができた。この試料について、低濃度で化合物の構造確認が可能な質量分析を行った。MALDI-TOFMSでは錯体を確認できなかったため、FABMSを用い、分取試料に[(Man-B)3-Eu]が含まれていることを確認したがNMR解析に必要な数百マイクログラムの試料量は確保できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配位錯体 [(Man-B)3-Eu]の大量精製に成功していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
糖アルコールの除去によりNMR解析が容易になると考えられるため、H25年度で検討した引き続き塩を含まないHPLCによる配位錯体 [(Man-B)3-Eu]の精製を人手を確保して実施し、試料を蓄積する。この試料についてNMR解析による立体構造の解明を行う。また、配位錯体の安定性を高められるよう、糖の水酸基の架橋化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人手の確保が難しく賃金の支出が少なかったため。 本研究課題の推進のため、H26年度は人手を確保し研究費は交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額 386,084円 は、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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