2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560871
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
泰松 齊 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60125721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁野 章弘 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80451649)
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Keywords | 炭化物セラミックス / 炭化タングステン / 炭化モリブデン / 炭化ケイ素 / 反応焼結 / 機械的性質 / 熱伝導度 |
Research Abstract |
WC、Mo2C、SiCとC粉末から、常圧焼結法によって(W, Mo)C-SiC硬質セラミックスを作製することを試みた。まず、最適な焼結温度を確定し、得られた焼結体の微細組織と機械的性質について調べた。出発原料として、WC、α-Mo2C、α-SiC、ケッチェンブラックの各粉末を使用し、W0.8Mo0.2C-x mol% SiC (x = 0~20)の組成になるように秤量し、ナイロン製ボールミルで混合した。粉末はCIP成形し、Ar雰囲気中で1800℃と1900℃で焼結した。得られた試料は、鏡面研磨後、XRD、SEM、TEMを用いて組織観察と分析を行い、機械的性質および熱伝導度を測定した。その結果、以下の点が明らかになった。 SiCの添加により、(W, Mo)C硬質セラミックスの焼結性が大幅に改善され、1900℃で常圧焼結によって緻密に焼結できた。SiCの添加は、反応焼結による(W, Mo)C相の生成を促進し、焼結後の未反応のMo2Cの残留はなかった。 SiC添加量の増加に従って、焼結体のヤング率が僅かに低下したが、ビッカース硬さと破壊靭性値はほぼ変わらなかった。温度の上昇と焼結時間の増加による結晶粒の増大のため、常圧焼結により作製した試料は通電加圧焼結により作製した試料より硬さは低くなったが、ヤング率と破壊靭性値はほぼ同じであった。SiCの添加量が20 mol%までは、(W, Mo)C-SiC硬質セラミックスは600 GPa以上のヤング率, 20 GPa以上のビッカース硬さ, 5.5 MPa m1/2以上の破壊靭性値の優れた機械的性質を示した。 20 mol% SiC添加により、SiC無添加に比べて熱伝導率は約1.6倍増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では、WC-Mo2C-C混合粉末へSiCを添加し、WC-MoCセラミックスの焼結性、組織、機械的性質へのSiCの効果について調べる計画であった。研究を推進した結果、計画で予想していたように、SiCは(W, Mo)C相の生成を促進するとともに焼結性を向上させることが明らかになり、当初予定していた研究についてはすべて終えることができた。研究が予想通りに進んだため、硬質材料を実用化するときに重要な物性の一つである熱伝導性についても評価した。その結果、SiC添加により熱伝導性が向上するという良好な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
WCに対するSiCの添加がWCの焼結性を向上させることを平成25年度に明らかにすることができた。しかし、一般的には、焼結性が向上すると、必ずWC結晶粒が成長し、ある程度粗大化する。機械的性質を向上するためにはWC結晶粒成長を防止する必要がある。バインダーレス超硬合金の場合のWC結晶粒成長防止剤については、V8C7とCr3C2が有効であることを本申請者らがすでに報告している。このため、V8C7とCr3C2に的を絞って添加効果を調べる。研究の進行と分担は、昨年度と同様に行う。 WC粉末、Mo2C粉末、C粉末、SiC粉末、V8C7またはCr3C2粉末をボールミルを用いて混合し、1800℃と1900℃の温度で、常圧焼結する。反応後の試料を切断研磨し、粉末X線回折、EPMA、TEMで分析する。その後、焼結した各試料について、密度、弾性率、硬さ測定を行う。緻密化した試料については、3点曲げ試験片を切り出し、曲げ強度の測定を行う。得られた結果を基に、最適の粒成長防止剤と添加量を決定する。 最後に、平成24~26年度に得られた結果を総括し、最もWC量を削減できる組成範囲と焼結条件を決定する。
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Research Products
(1 results)