2012 Fiscal Year Research-status Report
立体形状をした強磁性体の高精度非破壊検査技術の開発と傷の定量的評価手法の検討
Project/Area Number |
24560889
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
福岡 克弘 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (40512778)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非破壊検査 / 渦電流探傷試験 / 磁粉探傷試験 / 定量的評価 |
Research Abstract |
立体的な形状をした被検査対象物(強磁性体)を、高精度に非破壊検査する技術の確立を目的とし、研究を実施した。極微小な傷の検査が可能な“磁粉探傷試験”と、傷形状(長さ、深さ、幅)を定量的に評価するのに有利な“渦電流探傷試験”を組み合わせたハイブリッド電磁非破壊検査システムの確立を検討した。磁粉探傷試験と渦電流探傷試験において、立体的な形状の強磁性体を探傷するため、三次元空間に均一且つ簡便に磁界を発生できる磁化装置の開発を検討した。平成24年度の具体的な研究実績を以下に示す。 立体形状の強磁性体を三次元の全方向に磁化するため、三次元方向に回転磁界を発生できる磁化装置の開発を行った。有限要素法による数値解析モデルを作製し、磁化器から発生する磁界分布を評価することにより、磁化器の配置、コイル・コアの形状および励磁電流の最適条件を求めた。2個の磁化器を対向して配置することで、三次元立体空間に回転磁界を発生できることを確認した。 強磁性体中に存在する極微小き裂を、渦電流探傷試験により検出することを検討した。相互誘導型差動貫通プローブを用いて、強磁性体を最適な条件で磁化すること、さらに多重周波数法によりデータ処理することで、深さ50μmのき裂をS/N比2以上で探傷可能な渦電流探傷システムを開発した。 磁粉探傷試験によりき裂を定量的に評価する手法を確立するため、き裂形状の違いによるき裂への磁粉付着量の変化に関して、高速度カメラを用いた動画像計測により評価した。また、三次元ホール素子を用いてき裂からの漏洩磁束密度(x,y,z方向成分)を計測し、き裂形状と漏洩磁束密度分布の関係について評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」に即して、予定通りの研究が実施できている。また成果についても、期待していた結果が得られている。 試験体作製において、満足できる試験体が入手できていない。次年度以降に、き裂形状をパラメータとした試験体を作製し、その試験体を用いてより詳細な評価を実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」に即して、次年度以降の研究を推進する。具体的な推進方策を以下に示す。 平成24年度の研究において、三次元方向に回転磁界を発生する磁化装置の開発では、2個の磁化器を対向して配置することで、三次元立体空間に回転磁界を発生できることを確認した。しかし、発生する磁界の分布が角度により不均一であった。本年度は、磁化器の配置や極性に関して有限要素法解析により検討することで、均一な回転磁界の発生を目指す。さらに、実際にプロトタイプの磁化器を作製し、発生磁界の実計測を実施する。 き裂形状(長さ、深さ、幅)をパラメータにした試験体を数体作製する。さらに、実欠陥による評価を実施するため、応力腐食割れ、疲労割れなどの自然き裂の作製に関して検討していく。 複雑形状部に対応可能な渦電流探傷プローブを開発する。現在のプローブは貫通型コイルを使用しているが、パンケーキ型マルチコイルとし、形状をフレキシブルにすることで、複雑形状部に適応可能なプローブを検討する。 磁粉探傷試験を用いたき裂の定量的評価手法を確立するため、高速度カメラを用いた動画像計測、数値解析による漏洩磁束密度の評価を、き裂形状をパラメータとして実施する。これにより、き裂形状、磁粉量、および漏洩磁束密度分布の関係についてデータベースを作製する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の試験体作製において、満足できる試験体が入手できていないため、き裂形状(長さ、深さ、幅)をパラメータにした試験体を数体作製する費用として使用する。 外部施設(工業試験場、民間企業等)の装置を使用した実験を実施することを計画している。そのための旅費として使用する。 本研究で得られた研究成果を、学会等において積極的に報告する。そのための旅費・参加費として使用する。
|
Research Products
(19 results)