2012 Fiscal Year Research-status Report
論理アラーム処理のヒューマンエラー抑制メカニズムの解明と効果検証
Project/Area Number |
24560942
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラントアラームシステム / 認知情報処理モデル / ヒューマンエラー / メカニズム |
Research Abstract |
経験や知識などに基づく人間の高度な認識や判断に委ねられる運転業務の一つに,アラームシステムを使ったプラントの異常検知や異常診断などがある.オペレータの正しい異常検知や異常診断を支援するアラームシステムの設計では,人間とシステムの関わりを認知情報処理プロセス(情報獲得・情報解析・意思決定・行為実行)のレベルで詳細に分析し,その結果を設計にフィードバックすることが重要である.本研究では,有害アラーム発生時における論理アラーム処理のヒューマンエラー抑制効果を,オペレータモデルによる異常診断シミュレーションにより認知情報処理プロセスのレベルで検証し,得られた知見を基にヒューマンエラーが起こりにくい論理アラーム処理法を提案することを目的とする. 平成24年度は,有害アラームがオペレータの異常診断にどのように影響を与え,診断ミスにつながるのか,そのメカニズムを認知情報処理のレベルで詳しく解析するためのシミュレーション環境を整備した.化学プラント用ダイナミックシミュレータ Aspen HYSYS(アスペンテック社製)と,科学技術計算ソフトウェアMATLAB(MathWorks社製)上で動作するオペレータモデルを結合し,有害アラーム発生時のオペレータの異常診断過程を認知情報処理のレベルで詳細に模擬できる異常診断シミュレーション環境を構築した.構築したシミュレーションを用いることで,有害アラームが発生したときのオペレータの異常診断過程データを収集することができる.収集できるデータには,オペレータの認知情報処理過程,異常診断時間や成功率,ヒューマンエラーの種類などがある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画の有害アラーム発生時の異常診断シミュレーション環境の構築は達成することができた.しかし,シミュレーション環境の整備に当初の予想よりも時間がかかったため,ヒューマンエラーの発生メカニズムの解析については一部未解析のデータが残った.
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Strategy for Future Research Activity |
異常診断シミュレーションの結果から,迷惑アラームやアラームの洪水などの有害アラームが,どのようにオペレータの異常診断ミスを引き起こし,結果としてプラント事故につながったのか,そのメカニズムを認知情報処理のレベルで詳細に解析する.異常診断ミスを起こした迷惑アラームやアラームの洪水の直接的な原因を洗い出す.有害アラームが発生したとき,論理アラーム処理がヒューマンエラー抑制に有効であるか検証する.また,正しい異常診断が論理アラーム処理によってかえって妨げられるケースがないか調べる.得られた知見をもとに,論理アラーム処理技術の適切な利用ガイドラインを取りまとめる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
異常診断ミュレーション環境のためのダイナミックシミュレータ Aspen HYSYS(アスペンテック社製)と科学技術計算ソフトウェア MATLAB(MathWorks社製)の年間ライセンスを購入する.得られた研究成果を国際学会および国内学会で発表し,雑誌論文に投稿する.当該助成金に繰越額が発生したのは,平成24年度に導入予定であった異常診断シミュレーション用計算機のモデルチェンジにより計算機の購入が遅れたためである.平成25年度に,同等スペックの計算機を購入する予定である.
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