2013 Fiscal Year Research-status Report
論理アラーム処理のヒューマンエラー抑制メカニズムの解明と効果検証
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24560942
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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Keywords | プラントアラームシステム / 認知情報処理モデル / ヒューマンエラー / 論理アラーム処理 / 有害アラーム |
Research Abstract |
本研究では、アラームの洪水や連鎖アラームなどの有害アラームが引き起こすヒューマンエラーに対する、アラームサプレッションやシェルビングなどの論理アラーム処理の抑制効果を、オペレータモデルを用いた異常診断シミュレーションにより、認知情報処理プロセスのレベルで詳しく解析することを目的とする。得られた知見をもとに、ヒューマンエラーが発生しにくいアラームシステムのプロトタイプを構築する。 平成25年度は、前年度までに構築したオペレータの異常診断過程を認知情報処理のレベルで詳しく解析するためのシミュレーション環境を用いて、アラームの洪水や連鎖アラームなどの有害アラームが発生したときのオペレータの異常診断過程データを収集した。その結果から、有害アラームがオペレータの異常診断にどのように影響を与え、診断ミスにつながるのか解析した。さらに、有害アラームが発生したとき、論理アラーム処理がヒューマンエラー抑制に有効であるか、正しい異常診断が論理アラーム処理によって妨げられるケースがないか調べた。論理アラーム処理の方法としては、サプレッション(洪水発生時に新規アラーム発報を抑制)、たたみ込み(同じアラームを一つに集約)、シェルビング(重要度の低いアラームを一時的にオフ)、ソーティング(アラームを重要度順にソート)およびマクロアラーム(関連するアラーム群を代表アラームに集約)を取り上げた。得られた知見に基づき、オペレータのヒューマンエラーを招きにくいアラームシステムについて検討した。具体的には、プラント状態に応じてアラーム設定を自動的に変更する仕組みや、異常診断ミスの発生をオペレータモデルにより検知したときに最も確からしい異常原因をオペレータに提示する機能をアラームシステムに組み込むことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度~25年度の研究計画の異常診断シミュレーション環境の構築、有害アラーム発生時の異常診断シミュレーションおよびヒューマンエラー発生メカニズムの解明は概ね達成することができた。現在、有害アラーム発生時の論理アラーム処理のヒューマンエラー抑制効果について検証を進めているが、ヒューマンエラーにロバストなプロトタイプシステムの構築作業は遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
有害アラームが発生したとき、論理アラーム処理がヒューマンエラー抑制に有効であるか検証する。また、正しい異常診断が論理アラーム処理によってかえって妨げられるケースがないか調べる。得られた知見をもとに、論理アラーム処理技術の適切な利用ガイドラインを取りまとめ、ヒューマンエラーを招きにくいアラームシステムを提案する。たとえば、プラント状態に応じてアラーム設定を自動的に変更する仕組みや、異常診断ミスの発生をオペレータモデルにより検知したときに最も確からしい異常原因をオペレータに提示する機能をアラームシステムに組み込む。開発したヒューマンエラーにロバストなアラームシステムの有効性を異常診断実験により検証する。得られた研究成果を国際学会および国内学会で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロトタイプシステム構築の遅れにより、異常診断実験を予定の回数実施することができなかった。そのため次年度使用額が生じた。 プロトタイプシステムを完成させ、異常診断実験を実施する予定である。
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Research Products
(7 results)