2013 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド型洋上エネルギー開発システムの実海域性能に関する基礎的検討
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24560990
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
砂原 俊之 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40276788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 裕 東海大学, 海洋学部, 教授 (10138638)
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Keywords | 浮体式洋上風力発電 / 沿岸域発電システム / 波浪推進装置 / 波浪中動揺低減 |
Research Abstract |
本研究では沿岸域で設置可能な中規模の風力発電システムを提案する。これは浮体式洋上風力発電システムに波浪推進装置を組み合わせたハイブリッド型洋上風力発電船であり、波による漂流、動揺を抑え、係留系にかかるコストを軽減することをその特徴とするものである。これまでに、想定実機の概念設計を行うと共に実験模型を用いた規則波中性能実験を行った。その結果、船体下部の水中翼により、波に逆らって船体を前進させようとする推力が幅広い波周期で働くと共に、波浪中ピッチ運動が大きく(最大90%減)軽減される等、本システムの実現に向けて十分期待を持てる結果を得ることができた。しかし、実際に船体下部の水中翼が流体力学的にどのように船体運動低減に寄与するのか、その詳細は分かっておらず、翼部の最適設計のためにはそれを明らかにする必要がある。そこで本年度は、ハイブリッド型洋上エネルギー開発システムの実現に向けて、水中翼が波浪中ピッチング動揺減衰性能や係留力低減性能に及ぼす流体力学的影響を模型実験により調べた。 プラットフォーム模型に働く波浪荷重について、翼条件を様々に変化させたディフラクション実験を行い、模型船に働く波強制力と波漂流力を求めた。その結果、波浪中ピッチ運動の原因となるピッチ強制モーメントは、翼が無い場合に比べると、翼や平板の存在によって逆に生じる力が小さくなっており、波浪荷重においても、翼や板の存在が動揺低減にプラスに働いていることが分かった。また固定翼でもはっきりとした波漂流力低減効果が得られており、さらに翼形状では無い単なる平板の場合でも漂流力低減効果が得られており、本システムの構造をよりシンプルにできる可能性を示唆している。結局、翼条件による違いは、ただの平板も含めて波強制力にはその影響はほとんど生じておらず、一方波漂流力は翼形状や可動、固定の違いによって大きく異なることが改めて分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、プラットフォーム模型に働く波浪荷重特性を調べるディフラクション実験とともに、水中翼が波浪中ピッチング動揺減衰性能に及ぼす影響を調べるラディエーション実験を行う予定であったが、計測環境を整えることができず、後者の実験を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本システムは実海域の自然環境条件下における本システムの有効性を検証する必要がある。この場合、初期モデルでは双胴船型プラットフォームを採用したが、より実海域性能に優れた浮体形状の検討も必要となる。そこで、以下の検証を実施する予定である。 ・水中翼が波浪中ピッチング動揺減衰性能や係留力低減性能に及ぼす影響を模型実験等により調べる。 ・多点係留型システムへの適用を視野に入れて、セミサブ型プラットフォームなど種々のプラットフォーム形状と水中翼を組み合わせた場合の波浪中動揺低減効果、漂流力低減効果を明らかにし、風、波、潮流の影響を総合的に加味した上での本システムの技術的可能性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、水中翼が波浪中ピッチング動揺減衰性能に及ぼす影響を模型実験により調べる予定であったが、強制動揺装置の不具合など計測環境の構築がうまくできず、実験を実施することができなかったため。 次年度は、今年度実施できなかった模型実験を実施する予定であり、当該助成金はその実験にかかわる諸支出に充当する予定である。
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