2013 Fiscal Year Research-status Report
NBI水素ビームとタングステンイオンの荷電変換衝突断面積の実験的測定
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24561024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 誠 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60263117)
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Keywords | プラズマ計測 / 中性粒子入射 / 電離断面積 / 電荷変換断面積 / 国際情報交換IAEA |
Research Abstract |
本研究では、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所のタンデム型加速器より得られるタングステンイオンビームと水素原子ビームを交差衝突させた際の反応を精密測定する。平成25年度は、平成24年度に調達した水素原子ビーム源を設置し、実際にタングステンイオンビームと交差衝突させることを試みた。 実際に実験を行ったところ、本研究の目的である誤差15%以内での荷電変換衝突断面積測定実現のためには、借用使用している汎用散乱真空槽の蓋部分を交換し、実験中の散乱槽内真空度を向上させることが不可欠であることが判明した。具体的には、加速器ビームラインに設置してある汎用散乱真空槽は、下流に設置した電荷・エネルギー分析電磁石へのイオン入射角度を可変できるよう真空槽自体の回転機構を備えており、蓋部分にメンブレンシートを用いて真空保持を行っている箇所がある。この汎用散乱真空槽に水素原子ビーム源を設置して実験を行うと、このシート部分の気密不足により真空槽内の真空度は 0.0001 Pa 台となり、本研究の目的とする精度で断面積を得ることが困難となる。そのため、メンブレンシートを使用しない専用の真空槽蓋を製作し、これを使用して目的の精度で断面積測定を実施する方針とした。 新規製作する蓋の仕様を決定し、業者と詳細な検討・打合せを行ったが、特殊な工作機械と技術を必要とするため、2社より製作不可能との通知を受け、3社目との打合せを経て製作業者の選定を終えることが出来た。この過程に6ヵ月以上の期間を要したため、専用蓋は平成26年3月時点で未だ製作中となっている。 平成26年度は、専用蓋の製作完了後すみやかに実験を再開し、集中的に実験を行って衝突断面積測定を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験測定を行うための装置類の準備は順調に進展し、「研究実績の概要」欄記載の真空度向上の必要性も想定内の課題であったが、これに対応するための専用真空蓋製作業者の選定に、思いの外時間を要した。 簡単な工作ではないことは当初から明らかであったので、十分な実績を持つ業者に絞り、詳細な検討・打合せを行ったが、2ヵ月におよぶ打合せの後製作不可能を告げられることを繰り返し、3社目で合意に至ったため、発注が平成25年12月までずれ込んだ。 この間、約6ヵ月の計画遅延を生じたため、平成26年度には集中的にマシンタイムを確保し、実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所タンデム型加速器において、1.0, 0.5 MeV/u(184, 92 MeV)タングステンイオンビームと水素原子ビームを交差衝突させ、衝突後のタングステンイオンの価数分布を計測することによりタングステンイオンの電子損失断面積を測定し、逆過程である 1.0, 0.5 MeV/u(1.0, 0.5 MeV)水素原子によるタングステンイオン電離断面積を求める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、平成25年度に新規製作する汎用散乱真空槽の専用蓋は年度内の発注と納入を予定していたが、業者選定と打合せの段階で約6ヵ月の計画遅延が生じたため、納入が平成26年度にずれ込んだ。これにより、当該専用蓋費用\995,220と計画遅延による消耗品未執行額計\1,050,850を生ずることとなった。 上覧記載の汎用散乱真空槽専用蓋購入のほか、本研究を遂行するために必要となる高純度水素ガスなどの消耗品購入ならびに研究成果発表に必要となる旅費として使用する。
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Research Products
(8 results)