2012 Fiscal Year Research-status Report
子供一人あたりの食品(給食)摂取による内部被ばく線量評価
Project/Area Number |
24561052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | (財)日本分析センター |
Principal Investigator |
太田 智子 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (60601797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 右修 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (10544372)
越川 昌義 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (10627037)
岸本 武士 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (20544430)
小島 健治 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (20627038)
松田 秀夫 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (60627040)
大平 智章 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (70627041)
樫原 陽子 (財)日本分析センター, その他部局等, 研究員 (80627042)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子供 / 給食 / 内部被ばく線量 |
Research Abstract |
福島第一原子力発電所の事故以来、国民の食品の放射能汚染に対する不安は高まっている。とりわけ、子供への影響を懸念する声が高い。本研究では、子供の食生活に直結する給食中の放射能濃度について調査し、給食摂取による内部被ばく線量評価を行うことを目的とする。その際、人工放射能核種核種(ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239+240)のみならず、自然放射性核種(ウラン238、トリウム232、ラジウム226、鉛210、ポロニウム210)についても調査研究を行うことにより、内部被ばくに関する総合的な知見を得ることを目指す。また、試料採取方法に陰膳方式を採用することにより、実際の食生活に即した研究成果が得られ、国民へのより分かりやすい情報提供を目指す。 平成24年度は試料採取のための協力機関の交渉を行った。協力機関の交渉は難航した。主に、教育委員会を中心に協力を求めたが、本研究で行う放射能分析が、現在学校現場で実施している給食検査よりもかなり詳細な分析になることに難色を示す場合が殆どであった。協力機関を模索する中で日本保育園保健協議会のご協力を得ることができた。協議会の各支部から協力園を仰ぎ調査対象として10の保育園を確保することが出来た。協力園の所在地は北海道、山形県、宮城県、東京都、神奈川県、石川県、大阪府、高知県及び福岡県である。その他に福島県の保育園(1園)、福島県の小学校(1校)及び千葉県の小学校(1校)の協力を得ることができ合計13園校の試料採取が可能となった。1園校につき、四半期ごとに1回(第1期間:平成25年1月から3月、第2期間:平成25年4月から6月、第3期間:平成25年7月から9月、第4期間:平成25年10月から12月)試料採取を実施するので、試料数としは52試料となる。平成24年度は第1期間分の試料採取と前処理(灰化)が終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗が予定よりやや遅れているのは、給食採取の協力機関の交渉が難航したためである。主に、教育委員会を中心に協力を求めたが、本研究で行う放射能分析が、学校現場で実施している給食検査よりも詳細な分析になることに難色を示す場合が殆どであった。より詳細な分析をすることで検出データが出てしまう可能性があること、今まで触れていなかった核種についても分析をするということで、学校給食の運営に支障をきたすとの判断が働いたと思われる。 協力機関を模索する中で日本保育園保健協議会のご協力を得ることができた。協議会に所属する保育園では、「給食中の放射能調査をすることで、給食を摂取することによる子供たちの内部被ばく線量を把握することは大変意義深い」との認識のもと試料採取にご協力頂けることとなった。協議会の各支部から協力園を仰ぎ調査対象として10の保育園を確保することが出来た。協力園の所在地は北海道、山形県、宮城県、東京都、神奈川県、石川県、大阪府、高知県及び福岡県である。その他に福島県の保育園(1園)、福島県の小学校(1校)及び千葉県の小学校(1校)の協力を得ることができ合計13園校の試料採取が可能となった。1園校につき、四半期ごとに1回(第1期間:平成25年1月から3月、第2期間:平成25年4月から6月、第3期間:平成25年7月から9月、第4期間:平成25年10月から12月)試料採取を実施するので、試料数は52試料となる。1試料につき8核種の分析を行うので、試料量として10kg程度必要となる。1日で10kgを採取するのは困難なので、1日2kg(数名分の給食)を5日間採取したものを1試料(25~30食分)とした。採取は可食部のみとし、牛乳を間食として出している場合も、牛乳は加えて採取した。平成24年度は第1期間分の試料採取と前処理が終了した。協力園校に感謝し、引き続きのご協力をお願いする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は残りの3期間分の試料採取と前処理、4期間分の放射性核種分析を行う。試料採取は四半期ごとに1回(第1期間:平成25年1月から3月、第2期間:平成25年4月から6月、第3期間:平成25年7月から9月、第4期間:平成25年10月から12月)で実施するが、平成25年度は第2~第4期間の試料採取を行う。各園校に期間中の連続した5日間で試料を採取して頂く。1試料あたり10kg必要なので、1日分は約2kgとなる。5日間の数人分の給食(25~30食分)をまとめて1試料とする。牛乳は幼児の食生活に欠かせないため、間食として出している場合も試料に加える。採取した給食は粉砕機で粉砕しながら均一に混合する。10kgのうち約0.5kgをポロニウム210、鉛210分析用に分取し、残りを乾燥・灰化処理を行う。得られた灰試料をガンマ線スペクトロメトリーによるガンマ線核種分析、放射化学分析用(ストロンチウム90、プルトニウム、ウラン238、トリウム232、ラジウム226)の試料とする。ポロニウム210、鉛210は生試料を用いて分析を行う。鉛210はポロニウム210との系統分析を行うので、ポロニウム210の分析を実施してから6か月以上経過した後実施する。すべてのデータが揃うのは平成26年10月頃を予定している。データが揃い次第、給食摂取による内部被ばく線量評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は3期間分の試料採取を行うので、各期間において、各園校に試料採取用容器の発送を行う。また、採取して頂いた検体については冷蔵状態にて郵送してもらう。試料採取に伴う郵送費等が必要となる。 平成24年度に採取した検体も含め平成25年度は、すべての試料について分析を実施することとなる。ガンマ線放出核種の放射性セシウム分析以外は放射化学分析による分析を行う。そのため、試薬(標準物質を含む)、機器(器具)、消耗品といった分析に係る経費が必要となる。また、採取試料は残試料も含めて冷凍ストッカーにて保管するため保管に係る経費が必要となる。 本研究課題は給食摂取による内部被ばくを評価することから幼児教育に関わる方々の関心も高く、研究概要について国際シンポジウムへの発表依頼もきている。研究成果の有効活用の意味でもこのような機会は積極的に参加したい。
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Research Products
(1 results)