2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24570044
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
福原 敏行 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90228924)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ダイサー / 2本鎖RNA / DCL3 / DCL4 / 栄養欠乏ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
植物には、4種類の2本鎖RNA切断酵素・ダイサーが存在し、遺伝子発現制御、トランスポゾンの転移抑制、ウイルス感染防御など多くの重要な生体反応を担っている。本研究では、4種類のダイサーの中で、DNAメチル化を担いトランスポゾンの転移抑制に関与するDCL3と、RNA干渉を担いウイルス感染防御に関与するDCL4の酵素活性を解析し、ダイサーの機能分化を明らかにすることを目的とした。平成24~25年度の研究により、シロイヌナズナ芽生え由来の粗抽出液を酵素画分とし、32Pで末端標識した50塩基の2本鎖RNAを基質に用いることで、簡便に2種類のダイサー(DCL3とDCL4)の活性を同時に検出する実験系を確立した。 平成26年度は、本実験の特徴を生かし、種々の栄養欠乏ストレスを処理したシロイヌナズナを用いて2種類のダイサー活性を解析した。この実験系により、イオウ欠乏ではDCL4の活性が低下すること、DCL4の活性が生体内の酸化還元で制御されていること、リン酸欠乏ではDCL3の活性が低下し、DCL3は、生体内のリン酸濃度により調節を受けていることが示された。これらの実験結果から栄養欠乏ストレスがダイサーの活性調節を通してDNAメチル化とRNA干渉に影響を及ぼすことが示唆された。 また、種々の2本鎖RNAをプロトプラスト(裸の細胞)に導入し、その後のDCL4による切断産物(siRNA)と誘導されるRNA干渉反応を解析した。その結果、導入する2本鎖RNAが長い方が効率よくRNA干渉を誘導すること、21塩基対の2本鎖RNA (siRNA)を導入する場合は、5’末端塩基の種類によりRNA干渉誘導効率が異なることなどが明らかとなった。このようにダイサーの機能分化と活性調節の機構の一端を明らかにすることができた。
|
Research Products
(17 results)