2012 Fiscal Year Research-status Report
キスペプチンをはじめとする脳内ペプチドによる生殖中枢制御機構の解明
Project/Area Number |
24570067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤染 康久 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50302807)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キスペプチン / GnRH / ニューロペプチドFF / GPR54 / GPR74 |
Research Abstract |
メダカキスペプチンによる受容体活性化機構について解析したほか、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンに関しても解析が進んだ。魚類には最大で3種類のGnRHニューロンが存在し、中でも終脳に存在するGnRH3ニューロンは嗅覚、皮膚感覚をはじめとするさまざまな感覚入力を統合して脳内の広範囲にGnRHペプチドによって出力するニューロンとして注目されている。すでに23年度までにメダカGnRH3ニューロンがグルタミン酸を神経伝達物質として使用している可能性を示していたが、24年度までの解析により、メダカGnRH3ニューロンがGnRH3、グルタミン酸に加え、ニューロペプチドFF (NPFF)とよばれるペプチドを発現していること、さらにこのNPFFに対する受容体(GPR74)も当のGnRH3ニューロンが発現していること、したがってGnRH3ニューロンがNPFFにより自己・傍分泌的制御をおこなっている可能性を二重in situハイブリダイゼーションによって証明し、現在論文公表準備中である。24年度はさらに、GPR74のNPFFによる活性化機構を解析し、従来GPR74で予想されてきた抑制性のGiカップリングにくわえ、複数種のG蛋白質との共役の可能性を見出し、現在解析中である。このほか、GnRH3ニューロンの投射・出力先のニューロンのcharacterizationに供するため、GnRH受容体プロモーター直下にGFP遺伝子を組み込んだトランスジェニックメダカを作出した。予想通り脳下垂体に緑色蛍光を認めたほか、脳実質にも緑色蛍光陽性ニューロンを認めた。今後はこれらが具体的にどのような神経伝達物質を発現するニューロンであるかの解析が焦点となろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPFF受容体(GPR74)と共役するG蛋白質、またその後のシグナルカスケードの特定が大詰めをお迎えており、25年度中に論文公表に繋げる計画である。GnRH受容体-GFPメダカの作出がほぼできつつあり、また、NPFFノックアウトメダカの作出の目途も立ち、研究計画達成度は概ね高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
GnRH3ニューロン、すなわちNPFFニューロン自身に対するNPFFの作用を詳細に検討する目的で、内在性のNPFF産生をおこなえないNPFFノックアウトメダカの作出に着手した。GnRHの標的ニューロンの同定に向け、GnRH受容体-GFPメダカを作出し、遺伝子発現の網羅的解析に着手する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度内に終了しなかった組み換え動物の樹立とその解析に要する支出に、H24年度からの繰越金を充てる。
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