2014 Fiscal Year Research-status Report
キスペプチンをはじめとする脳内ペプチドによる生殖中枢制御機構の解明
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24570067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤染 康久 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50302807)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニューロペプチドFF / NPFF / NPFFR2 / GPR74 / キスペプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、すでにメダカからクローニングしていたニューロペプチドFF (NPFF)およびRFアミド関連ペプチド(RFRP)の受容体GPR147, GPR74-1およびGPR74-2をHEK293-T細胞に発現させ、リガンドであるNPFFおよびRFRPを投与した際の細胞におけるcAMP応答エレメント(CRE)下流の遺伝子発現の活性化を、ルシフェラーゼアッセイをもちいて解析した。この結果、例えばNPFF投与によりGPR74-1発現細胞では、低濃度ではCRE活性化は用量依存的に減少し、Giタンパク質との受容体の共役が考えられた。しかし高濃度側では用量依存的にCRE活性化が上昇した。もう一種類のGPR74であるGPR74-2発現細胞でもほぼ同様の結果が得られた。ここから、NPFFの抑制性の効果には至適濃度が存在することが考えられた。このようなリガンド濃度に応じた受容体を介したシグナル伝達系の二相性の反応は、RFRPとGPR147の間でも認められた。このような傾向はCOS-7細胞を用いた場合でも全く同様であった。したがってこれらのペプチドと受容体の間では低濃度では抑制的であるが、高濃度では抑制的ではないと考えられた。また、このような性質は、これらNPFFとRFRPに共通した一般的な特徴と考えられた。すなわち単一のリガンドと単一の受容体だけでも、相当程度複雑・精妙な情報伝達がなされる可能性があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受容体3種類 (GPR147, GPR74-1, GPR74-2) につき、リガンド2種類 (NPFFおよびRFRP) による細胞内におけるCREの抑制と活性化を系統的に解析することが出来た。この結果従来知られていなかった用量依存的な二相性のcAMP応答エレメントの活性化機構が明らかとなった。また、NPFFのノックアウトメダカを作製することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用いた系ではNPFF受容体はリガンドの用量に応じて二相性の反応を示したが、生体での現象を明らかにする目的で、内在性のNPFFを欠いたNPFF遺伝子ノックアウトメダカを作出した。今後はこのノックアウトメダカを用いて、NPFFの量を厳密に管理した場合の影響をさまざまな角度から調べたい。
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Causes of Carryover |
当初経過腕は研究計画に130万円程度を見込んでいたが、実験の効率的な実行により30万円程度の余裕が生じた。一方、当年度の研究の過程で、当初予想と異なる結果を得、その究明に研究期間を充てる必要を生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における未使用学の使途内容:研究計画遂行に必要な試薬を中心とする消耗品に充てる。具体的には細胞培養関連試薬、細胞内情報伝達系のアッセイ用の試薬類である。一部分子生物学的実験用試薬にも充てる。
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