2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
若松 馨 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40222426)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質 / 安定化 / 抗体 / GPCR / メカニズム / スルホベタイン / オスモライト |
Research Abstract |
抗体とGPCRの安定化は創薬の更なる発展に必須である.申請者はスルホベタインが両者を安定化する予備的知見を得ていたので,安定化効果を詳細に解析し適用範囲と限界を見極める事を本研究全体の目的とした. (1) 抗体の安定化については,低濃度の凝集体を検出できる蛍光プローブの化学合成に,予想以上に時間はかかったが成功した.スルホベタインによる抗体の凝集防止は,このプローブを用いて今後確認する予定である. (2) μ-opioid receptorはNDSB-256によって強力に安定化される事が予想通り確認された.系統的にかなり異なるm2-receptorとμ-opioid receptorとが,ともにNDSB-256によって安定化された事から,NDSB-256はGPCRの安定化に一般的に有用である事が期待される. (3) Giαとm4-receptor部分ペプチドとの共結晶の結晶化にはまだ成功していないが,13C/15Nラベルしたm4-receptor部分ペプチドのNMRシグナルがGiαの添加によって変化する事がわかった.この測定は重水素化した凝集防止剤COSの存在下で初めて可能になった.また,相互作用について更に多くの情報をNMRで得るためにはm4-receptor部分ペプチドとGiαとの相互作用を弱める必要のある事がわかった. (4) スルホベタインがタンパク質を安定化するメカニズムについて解析するために,種々のタンパク質の熱変性に及ぼす効果を他の各種オスモライトと比較した.SYPRO OrangeとqPCR装置を用いて網羅的に解析したところ,NDSB-195はグリセロールやソルビトールとは安定化傾向が明確に異なる事,同じポリオールに分類されるグリセロールとキシリトールでも安定化効果が異なる事がわかった.この事はオスモライトの安定化メカニズムにはバラエティがある事を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 抗体の安定化: 低濃度の凝集体の検出に必要な蛍光プローブの化学合成に,予想以上に時間はかかったが成功した.シアーストレスによる抗体の凝集のスルホベタインによる保護の確認はこれからであるが,十分挽回できると予想している. (2) μ-opioid receptorはNDSB-256によって強力に安定化される事が確認されたのは予想通りである.NDSB-256はGPCRの安定化に一般的に有用であることが期待される. (3) Giαとm4-receptor部分ペプチドとの共結晶の結晶化にはまだ成功していないが,Giαとの相互作用を弱めた部分ペプチドアナログを用いれば相互作用に関する情報が得られる見通しが得られた.また重水素化した凝集防止剤COS-dが相互作用解析に非常に有用であることも確認された (4) スルホベタインは古典的なオスモライトとタンパク質を安定化するメカニズムが異なる事が分かった.また,構造のよく似たポリオールどうしでも安定化効果が異なることがわかった.このことは全く新しい発見である.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) H24年度に合成した凝集検出傾向プローブなどを用いて,シアーストレスによる抗体の凝集がスルホベタインによって保護されることを確認する.また,抗体の熱変性も保護されることをSYPRO OrangeとqPCR装置を用いた網羅的解析で確認する. (2) nociceptin-receptorの熱変性がスルホベタインで保護されることを確認する.また,m2-receptorの熱変性の温度依存性,およびそれに対するスルホベタインの効果を解析することにより,変性に必要な活性化エネルギー(エンタルピー,エントロピー)とそのスルホベタインによる変化を決定する.この情報はスルホベタインがm2-Rを安定化するメカニズムについて情報を与える. (3) Giαとm4 receptor部分ペプチドとの共結晶の作成を継続すると共に,NMRでも相互作用を解析する. (4) スルホベタインがタンパク質を安定化するメカニズムについて緩和測定と水和測定で解析する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)