2012 Fiscal Year Research-status Report
クラスリン依存性小胞輸送の制御機構解明―ノックアウトマウスの利用―
Project/Area Number |
24570159
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
渡邊 利雄 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60201208)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 小胞輸送 / Arf1 / CALM / CALM-AF10 / アルツハイマー症 / SMAP1 / SMAP2 / 核外排出配列NES |
Research Abstract |
<ノックアウトマウスの解析> Arf1 KOのE3.5胚の培養を開始した。Arf1の第2,3エキソンをloxPで挟んだ遺伝子改変マウスを作製し、子孫への改変遺伝子の伝搬を確認した。CALM KOマウスを解析し、従来の定説とは真逆で、CALMの欠損位より引き起こされた鉄の取り込みの低下が原因であることを証明し論文(PLoS ONE)を公表した。日本語の総説も公表した。CALM KOマウスと神経細胞でのノックダウン実験とを用いて、アルツハイマー症の原因のアミロイドタンパク質の蓄積にCALMが関与していることを共同研究で発見し、論文投稿を行った。SMAP1, SMAP2二重ノックアウトマウスのE8胚のカドヘリン染色をしたが、差を見出していない。SMAP1欠損マウスでは、老齢時に骨髄異形症候群が発症することを発見し、論文(J. Clin. Inv.)公表した。SMAP2欠損マウスのオスは、精子の先体形成に異常を生じ、不妊であることを発見し論文投稿した。 <細胞レベルでの解析> Arf1 欠損E3.5日胚からの細胞株の樹立は不成功であった。CALMのスプライシングアイソフォームの機能の差が見られないことを確認した。CALM欠損MEF細胞を用いて、CALMの再導入によってトランスフェリンの取り込みが回復することを示し、CALMの欠損が原因であることを証明した。SMAP1コンディショナルマウスを用いSMAP1(f/-):SMAP2(-/-)MEF細胞を樹立した。 <白血病キメラ遺伝子CALM-AF10の解析> 白血病発症には、CALMのNESが重要で、NES-AF10でCALM-AF10と同じ機能を有することから、各外排出機構によるエピジェネティック変化という新しい白血病発症モデルと提唱し、研究会とワークショップで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<ノックアウトマウスの解析> Arf1の第2,3エキソンをloxPで挟んだ遺伝子改変マウスを作製し、子孫への改変遺伝子の伝搬を確認した。ノックアウトマウスの貧血の解析を行い、赤血球成熟のどの段階でCALMが働くかを明らかにし論文公表した。アルツハイマー症の原因のアミロイドタンパク質の蓄積にCALMが関与していることを共同研究で発見し、論文投稿を行った。これらは成果が得られるところまで進んでいる。一方で以下の2点は、解析を行っているが期待した結果をまだ得られてはいない。Arf1欠損E3.5胚in vitro培養を行い、細胞レベルでの異常の有無を解析しているが、まだ結果は得られていない。SMAP1, SMAP2二重ノックアウトマウスのE8胚のカドヘリン染色をしたが、差を見出していない。 <細胞レベルでの解析> CALMのスプライシングアイソフォームの機能の差が見られないことを確認した。CALM欠損MEF細胞を用いて、CALMの再導入によってトランスフェリンの取り込みが回復することを示し、CALMの欠損が原因であることを証明した。SMAP1コンディショナルマウスを用いSMAP1(f/-):SMAP2(-/-)MEF細胞を樹立した。これらは成果が得られるところまで進んでいる。一方でArf1 欠損E3.5日胚からの細胞株の樹立は不成功で、結果を得られなかった。 <白血病キメラ遺伝子CALM-AF10の解析> 白血病発症には、CALMのNESが重要で、NES-AF10でCALM-AF10と同じ機能を有することから、各外排出機構によるエピジェネティック変化という新しい白血病発症モデルと提唱し、研究会とワークショップで発表した。 現在論文投稿へ向けた最後の実験を行っている。 総合すると、おおむね順調に達成されていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
自作したノックアウトマウスを用いてArf1, CALM, SMAPの詳しい解析を行い、『真のクラスリン依存性の細胞内小胞輸送の姿』を提示することを目指し行った前年度の成果をもとに、今後の研究は以下の方策で推進する。 <ノックアウトマウスの解析> Arf1 KOを増やしE3.5胚の培養を行い、E5.5日で死亡するホモ欠損胚の細胞そのものに、分化増殖の異常があるのか、細胞間の高次機能に異常があるのかを明らかにする。作製したArf1の第2,3エキソンをloxPで挟んだ遺伝子改変マウスが、エキソンを欠損させるとArf1 KOと同じ表現型を示すのか、loxPで挟んだ状態は野生型と同様に機能するのかを検討する。アルツハイマー症の原因のアミロイドタンパク質の蓄積とCALMの関与の投稿論文が受理されるように、コメントがあった場合は実験を行う。老化に伴う脳組織でのCALMの機能や、骨の硬化における機能、体色の変化における機能等、組織特異的なCALMの機能を解明するのに必要性が増したCALM cKOマウス作製について検討を始める。SMAP1, SMAP2二重ノックアウトマウス胚の異常をさらに検討する。 <細胞レベルでの解析> Arf1 cKOマウスができ次第、欠損胚からの細胞株の樹立を試みる。CALM欠損MEF細胞を用いて、CALMが関与するエンドソームとTGN間でのCALM欠損の効果の解析を行う。加えて、エンドソーム以降の輸送の異常の有無の解析を行う。SMAP1, SMAP2二重ノックアウトMEF細胞を樹立し、小胞輸送異常の解析を開始する。 <白血病キメラ遺伝子CALM-AF10の解析> 得られた成果をまとめて、論文投稿を行う。また、CALM-AF10のさらなる機能解明を目指し、AF10欠損マウスの作製と解析に関して検討を始める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(9 results)
-
[Journal Article] SMAP1 deficiency perturbs receptor trafficking and predisposes mice to myelodysplasia.2013
Author(s)
S Kon, N Minegishi, K Tanabe, T Watanabe, T Funaki, W F Wong, D Sakamoto, Y Higuchi, H Kiyonari, K Asano, Y Iwakura, M Fukumoto, M Osato, M Sanada, S Ogawa, T Nakamura and M Satake
-
Journal Title
Journal of Clinical Investigation
Volume: 123
Pages: 1123-1137
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] The mouse clathrin assembly protein PICALM is required for erythroid maturation and transferrin internalization.2012
Author(s)
Mai Suzuki, Hirokazu Tanaka, Akira Tanimura, Kenji Tanabe, Natsuko Oe, Shinya Rai, Syunsuke Kon, Manabu Fukumoto, Kohji Takei, Takaya Abe, Itaru Matsumura, Yuzuru Kanakura, Toshio Watanabe.
-
Journal Title
PLoS ONE
Volume: 7
Pages: e31854:1-12
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-