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2014 Fiscal Year Research-status Report

べん毛モータの機械的強度と出力特性

Research Project

Project/Area Number 24570177
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

工藤 成史  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70308550)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大澤 研二  群馬大学, 理工学研究院, 教授 (50203758)
中村 修一  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90580308)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywordsバクテリア / べん毛モータ / モータ強度 / トルク特性
Outline of Annual Research Achievements

複数の構造タンパク質が強固な構造を形成する典型例であるバクテリアのべん毛モータについて、強度が低下した突然変異型のモータと、野生型のモータを比較することにより、構造タンパク質間の相互作用の大きさと、それを変化させる要因を明らかにすることを目指して研究を行った。遺伝的解析により突然変異部位を特定するとともに、変異型モータの機械的強度を実験的に評価した。また、機械的強度が低下したモータの出力特性が、野生型と異なっているかどうかについても調べることで、モータの強度維持に関わる構成部品が、モータのトルク発生にも影響を与えるかどうかを調べた。
べん毛モータに流体力を印加することで、1個ずつのモータの機械的強度を定量的に測定する系を開発した。突然変異体モータの機械的強度として、3.7 ± 1.6 pNという値が得られた。野生型モータの強度は20 pN以上であることが示唆された。モータ特性に関しては、機械的強度が低下した突然変異体と野生型のモータの間に、有意な差は見られなかった。このことは、べん毛モータの機械的強度を維持するための構造形成部位と、トルク発生部位の間に、機能的な相関はほとんど無く、互いに独立した機能部位として働いていることを示している。遺伝的解析によって、復帰変異体においてはロッドと呼ばれる部品に変異が入ってモータ強度が低下したもの他に、Motと呼ばれる部品に変異が入ったものが多数あることが明らかになった。このことは、べん毛の抜けやすさが回復したように見える復帰変異体の多くにおいて、モータ出力低下によりべん毛が抜けなかったことを示唆している。モータ強度の測定に関しては、国際学会で発表した。遺伝的解析に関しては、論文としてまとめて投稿中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

1年目に、べん毛モータの機械的強度を調べるために、外部から引っ張り力として粘性力を加える実験系を構築した。べん毛がスライドグラスに付着した状態で菌体が回転するテザードセルを作製し、カバーグラスを移動させて周辺の水溶液を流動させ、テザードセルが離脱するまで流速を増大させた。セルが離脱したときの流速から粘性力(べん毛モータに加わった力)を求めることができた。得られたモータ強度は、野生型で約4 pN、モータ強度が低下した変異体で2pNだった。2年目に、テザードセルを作製する方法を改良した。べん毛がガラスに付着しやすくなるsticky filamentの変異を、野生型の菌と変異型の菌にそれぞれ導入したところ、モータ強度が低下した突然変異体のテザードセルを離脱させる力は、抗体を用いた場合の2倍程度の大きさになった。野生型のテザードセルは離脱する確率が小さくなり、我々の実験系で印加できる粘性力の上限、約20 pNよりも大きな強度を有する可能性が高いことが分かった。モータの回転数-トルク特性は、野生型と変異体間で有意差を示さなかった。3年目までに完了した復帰変異体の遺伝的解析の結果は、2年目に得られたモータ特性の結果と矛盾しないものであった。これまでの結果を総合して、べん毛モータ強度が変化する変異はロッドに集中しており、この部分がモータの機械的強度を決める主要部分であることが確かめられた。定量的には、最初に発見された突然変異体SJW3060の強度は、野生型の半分以下まで低下していることが分かった。ロッド中の変異部位を確定することはできたが、それと強度の関係に関しては、ロッドの詳細な構造が明らかでない現時点では、確定的な情報とはならなかった。遺伝的解析に関する成果を論文としてまとめるのに予想以上の時間を要し、論文投稿が遅れてしまったため、期間の延長を申請することとなった。

Strategy for Future Research Activity

これまでに得られたデータをまとめた論文を投稿中であり、受理されるよう努力する。

Causes of Carryover

次年度使用額は、論文投稿が予定より遅れたことによる未使用額であり、投稿料に相当する。

Expenditure Plan for Carryover Budget

投稿中の論文が受理されしだい使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Mechanical strength of flagellar motors of Salmonella MS ring mutant2014

    • Author(s)
      29.Akira Asaumi, Shun Taga, Takahiro Abe, Shuichi Nakamura, Fumio Hayashi, Kenji Oosawa, Seishi Kudo
    • Organizer
      6th Int. Symp. on Aero Aqua Bio-mechanisms ISABMEC 2014
    • Place of Presentation
      ホノルル(アメリカ合衆国)
    • Year and Date
      2014-11-13 – 2014-11-16
  • [Presentation] 123.MotA に点変異を持つ細菌べん毛モーターの出力特性解析2014

    • Author(s)
      Kodai Oono, Shuichi Nakamura, Fumio Hayashi, Kenji Oosawa, Seishi Kudo
    • Organizer
      第52回日本生物物理学会年会
    • Place of Presentation
      札幌コンベンションセンター(札幌)
    • Year and Date
      2014-09-25 – 2014-09-27

URL: 

Published: 2016-05-27  

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