2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24580085
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
宮澤 光博 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, ユニット長 (90370684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 俊正 独立行政法人農業生物資源研究所, 生体分子研究ユニット, ユニット長 (40360458)
石田 裕幸 富山県立大学, その他部局等, 研究員 (90509861)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フェロモン分解酵素 / カイコ我 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モデル生物として有用性の高いカイコガ成虫を用いて、性フェロモン(ボンビコール)を不活化するタンパク質の存在を明らかにすることを目的として進めた。前年度までカイコガ成虫の触角を採取しその分離を幾度か試みたが、目的産物の濃度が極めて低く熱的安定性も低いことが示された。今年度は抽出するための緩衝液をリン酸緩衝液から非天然緩衝剤であるTris系に代え、試料の抽出と分離を試みた。試料の抽出には2000匹のカイコ我の触角を切り取り、そのまま液体窒素で凍結した後粉砕を行い、触角内容物の採取を行った。得られた試料は遠心処理を行い、その上清液をイオン交換カラムに直接通した。カラムに吸着した成分は塩化ナトリウムの濃度を変化させ溶出を行った。水酸基を有するカイコガフェロモンは、アルコールデハイドロゲナーゼもしくはアルコールオキシダーゼが最初の分解過程に関わる因子として推定される。特にアルコールオキシダは補酵素を必要とせず、触角と同じ中性付近で高い触媒活性を示すため、ボンビコールの不活化には適切な機能を有していると考え、得られた試料に対しその活性染色を行った。その結果、塩化ナトリウム濃度150-300mMの試料に対して活性が見られた。引き続き活性が観察された分画を濃縮し、高分離能を有するイオン交換カラムを用いて単離を行ったが、広い分画にわたり目的産物が分散する傾向が観察された。この原因は未だ解決されていないが、分子量の推定から、該当酵素は多量体を形成し機能を発現していることが推察された。本研究ではカイコガの触角から天然のフェロモン分解酵素を単離するための道筋をつけることができた。
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