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2012 Fiscal Year Research-status Report

母乳オリゴ糖を介したビフィズス菌とヒトの共生・共進化ー分子基盤の解明と応用展開ー

Research Project

Project/Area Number 24580119
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionIshikawa Prefectural University

Principal Investigator

片山 高嶺  石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70346104)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 日高 將文  東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00584848)
廣瀬 潤子  滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (40381917)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsビフィズス菌 / グリコシダーゼ / 母乳オリゴ糖
Research Abstract

本研究は,「母乳栄養児の腸管では,何故ビフィズスフローラが形成されるのか」という50年来の疑問を,ビフィズス菌による母乳オリゴ糖代謝の視点から解明するとともに,ビフィズス菌とヒトの共進化の分子基盤を探ろうとするものである.また,母乳オリゴ糖を人工乳へ添加することを目標に,母乳オリゴ糖の精密酵素合成法を開発することを目標とする.
平成24年度においては,ビフィズス菌Bifidobacterium bifidum JCM1254株より血液型B抗原にのみ特異的に作用するα-ガラクトシダーゼの単離と諸性質の解明を行った.本酵素のC末端側には糖質結合モジュールが存在しており,このドメインは本酵素が糖タンパク質糖鎖に作用する際に重要な役割を果たしていることが明らかとなった.また,Bifidobacterium infantis ATCC15697株より1,3-1,4-α-L-フコシダーゼを単離して,そのX線結晶構造解析を行った.本酵素は,ルイスaおよびルイスx3糖構造を特異的に認識してフコシル基を切断するが,これは本酵素がその3糖構造の中の分岐したGalを認識して結合することで誘導適合を起こすためであることが明らかとなった.さらに,本酵素の求核残基変異体を作成して,立体・位置特異的な1,3-1,4-α-L-フコシンターゼを創出することに成功した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

宿主であるヒトの糖鎖構造に特異的に作用するビフィズス菌のグリコシダーゼを2種単離し機能解析を行った.α-ガラクトシダーゼに関しては,既に同様の性質を有するものが他の腸内細菌より単離されているが,1,3-1,4-α-L-フコシダーゼに関しては,申請者らが初めてであった.本酵素はそのアミノ酸配列から糖質加水分解酵素ファミリー29(GH29)に分類されているが,これまでに知られているα-L-フコシダーゼが様々なフコシル結合に作用するのに対し,本酵素は1,3および1,4結合にのみ作用する特異的酵素であった.GH29の系統樹解析を行ったところ, 1,3-1,4-α-L-フコシダーゼが一つの大きな分岐群を形成していることが分かり,この分岐群の中の一つBacteroides thetaiotaomicron由来の酵素も1,3および1,4結合にのみ作用する特異的フコシダーゼであることが判明した.また,これらの基質特異性の違いをそれらの立体構造で説明することに成功した.これらの成果は,国際的に評価の高い雑誌Journal of Biological ChemistryおよびGlycobiologyに掲載されており,本研究は順調に進行していると言える.

Strategy for Future Research Activity

以前の研究において我々は,ビフィズス菌がヒト母乳オリゴ糖を特異的に資化する上で重要な役割を果たす酵素ラクト-N-ビオシダーゼをBifidobacterium bifidum JCM1254株より単離している.ラクト-N-ビオシダーゼ活性は,ビフィズス菌Bifidobacterium longum subsp. longum JCM1217株にも存在することが明らかとなっていたが,最近公開されたそのゲノム上にはGH20ラクト-N-ビオシダーゼに対応する遺伝子が存在していなかった.そこで,大腸菌を用いたBifidobacterium longum subsp. longum JCM1217ライブラリーを作製して,ラクト-N-ビオシダーゼ活性のスクリーニングを行ったところ,1920株中の5株に活性が検出された.遺伝子配列を解析したところ,全く機能の推定されていない遺伝子BLLJ_xxxxおよびBLLJ_xxxx (未発表のため非公開)が本菌のラクト-N-ビオシダーゼ活性を担っていることが明らかとなった.今後は,この新規なラクト-N-ビオシダーゼの構造機能解析を中心に研究を進めるとともに,本酵素を改変して母乳オリゴ糖の主成分であるラクト-N-テトラオースの酵素合成に取り組む予定である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

消耗品―新規なラクト-N-ビオシダーゼの構造機能解析を中心とした研究計画とし,必要な消耗品(オリゴ糖・プラスチック製品・遺伝子解析用試薬)を購入する(特に母乳オリゴ糖の標準品は極めて高価(一万円以上/ミリグラム)であるため,消耗品の割合が高くなる).
出張費―構造解析は,高エネルギー加速器研究機構(筑波)で行うため,出張費を計上する.

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] Bifidobacterial α-galactosidase with unique carbohydrate-binding module specifically acts on blood group B antigen2013

    • Author(s)
      Takura Wakinaka, Masashi Kiyohara, Shin Kurihara, Akiko Hirata, Thida Chaiwangsri, Takayuki Ohnuma, Tamo Fukamizo, Takane Katayama, Hisashi Ashida, and Kenji Yamamoto
    • Journal Title

      Glycobiology

      Volume: 23 Pages: 232-240

    • DOI

      10.1093/glycob/cws142

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 1,3-1,4-α-l-Fucosynthase That Specifically Introduces Lewis a/x Antigens into Type-1/2 Chains2012

    • Author(s)
      Haruko Sakurama, Shinya Fushinobu, Masafumi Hidaka, Erina Yoshida, Yuji Honda, Hisashi Ashida, Motomitsu Kitaoka, Hidehiko Kumagai, Kenji Yamamoto, and Takane Katayama
    • Journal Title

      Journal of Biological Chemistry

      Volume: 287: Pages: 16709-16719

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.333781

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2014-07-24  

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