2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580134
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松井 博和 北海道大学, -, 名誉教授 (90109504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐分利 亘 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00598089)
松浦 英幸 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20344492)
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Keywords | ジャスモン酸 / シトクロムP450 / シロイヌナズナ / 水酸化 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
ジャスモン酸は病傷害ストレス応答や成長を制御する植物ホルモンである。シグナル活性本体のジャスモン酸とイソロイシンの接合体 (JA-Ile)、あるいはジャスモン酸が水酸化を受けることでシグナルの不活性化が起きると考えられている。本研究では,未解明のジャスモン酸水酸化メカニズムを明らかにすることを目的とした。ジャスモン酸水酸化酵素として推定したCYP94D1とCPY94D2の解析を行うため,昨年度はこれらの酵素遺伝子の酵母による発現を試みたが,組換えタンパク質の生産は見られず,生化学的機能の解析に至らなかった。本年度は遺伝子欠損変異体を用いたジャスモン酸シグナル感受性試験を行った。CYP94D1欠損変異体は昨年度にホモ接合体を取得済みであるため,昨年度に引き続きCYP94D2の欠損変異体のホモ接合体の取得を試みた。しかし,CYP94D2欠損変異をヘテロで持つものしか取得されなかった。eFPブラウザーにより遺伝子発現部位などを調査した結果,CYP94D2は胚発生時に特異的に発現する遺伝子であることが判明した。このことからCYP94D2は胚発生に必須の因子であり,欠損をホモで持つと致死となると考えられた。このためCYP94D2については次年度に計画している過剰発現体により機能を解析することとした。CYP94D1の欠損変異体の傷害ストレスにおけるJA類の内生量の変化を解析したところ,予想に反し変異体におけるJA-Ile水酸化体の蓄積量は高かった。また,ジャスモン酸メチルによるシロイヌナズナの根の伸長阻害が欠損変異体では穏やかな傾向が観察された。このことはCYP94D1の欠損によりJA-Ileの高まり,JAシグナルの不活性化が促進されたことを意味する。このことからCYP94D1はJA-Ileの水酸化酵素のネガティブレギュレーターとして機能する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はCYP94D2の欠損変異体の取得に至らず,若干の遅れとしたが,本年度の解析の結果,当該遺伝子欠損は致死的で取得できないことが判明したため,解析内容から除外することとした.本年度は当初計画にて予定していたCYP94D1欠損変異体の解析を行い,本酵素がジャスモン酸とイソロイシンの接合体を水酸化する酵素のネガティブレギュレータ―として機能する可能性を示唆することができた.次年度はCYP94D1とCYP94D2の各遺伝子をそれぞれ過剰発現させたシロイヌナズナを用いて解析することを予定している。現在これらの遺伝子を導入した形質転換体の選抜中であり,次年度にこれらの解析を実施できる状況である。以上のことから現在のところ順調に研究を進めており,おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,作出しているCYP94D1とCYP94D2の各遺伝子を過剰発現させた形質転換体を用いて,傷害ストレスにおけるジャスモン酸類の内生量の定量実験およびメチルジャスモン酸存在下での根の伸長阻害実験を実施し,これらの遺伝子の過剰発現によるジャスモン酸類の内生量の変化を観察し,ジャスモン酸類の代謝における機能を明らかにする。
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[Journal Article] Modulation of allosteric regulation by E38K and G101N mutations in the potate tuber ADP-glucose pyrophosphorylase2013
Author(s)
Shinji Wakuta, Yumi Shibata, Yumiko Yoshizaki, Wataru Saburi, Shigeki Hamada, Hiroyuki Ito, Seon-Kap Hwang, Thomas W. Okita, and Hirokazu Matsui
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: 77
Pages: 1854-1859
Peer Reviewed
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