2012 Fiscal Year Research-status Report
パラジウム触媒による立体選択的な環化反応を用いた生物活性物質の合成研究
Project/Area Number |
24580160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
真壁 秀文 信州大学, 農学研究科, 教授 (90313840)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アミノパラデーション / ピペリジンアルカロイド / 不斉合成 / 生物活性物質 |
Research Abstract |
申請者はPd触媒を用いた立体選択的な環化反応に着目して,顕著な生物活性を持つアルカロイドやポリケチドの合成を行ってきた。本研究では適用範囲を拡大し,より複雑で特異な構造を持つ生物活性物質の合成研究を行う。計画している研究項目は立体選択的なアミノパラデーションの適用の拡大と生物活性物質合成への応用である。具体的には,顕著な生物活性を有する 2,6-ピペリジンアルカロイドであり,やや複雑な構造を持つために合成例が限られている(+)-azimineの合成と(-)-cassineの改良合成を行った。 1,5-Hexadiyneを出発物質に用いてSharpless酸化を用いて不斉中心を導入し,環化前駆体を合成した。続いて立体選択的なアミノパラデーションを検討した。その結果,触媒としてCl2Pd(MeCN)2を,溶媒はジクロロメタンを用いることで従来法よりも収率が改善した。ジクロロメタンはパラジウム触媒を2価に保つために重要な役割を果たしていると考えられた。続いて,methyl 5-hexenateとピペリジン環部分をクロスメタセシス反応に供し,側鎖を延長した。触媒は第二世代Hoveyda-Grubbs触媒が良好な収率を与えた。次に内部オレフィンを接触水素添加により還元後,アミノ基にCbz基を導入したヒドロキシカルボン酸を得た。この化合物のマクロラクトン化による2量化反応を検討した。その結果山口マクロラクトン化では収率は34%であったが,椎名マクロラクトン化により収率が68%に改善した。最後にCbz基の脱保護を行い,(+)-azimineの全合成を達成した。 また,2,6-ピペリジンアルカロイドである(-)-cassineの改良合成も行った。炭素鎖を延長する反応において第二世代Grubbs触媒を用いることで従来よりも合成の工程数を短縮することができ,効率的な合成経路を確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pd(II)触媒を用いた天然物合成に関して平成24年度は2,6-ピペリジンアルカロイドである(-)-cassineの改良合成および(+)-azimineの全合成に成功した。これらの研究成果は平成24年度中には学会発表等で公表をしていなかったが平成25年度には論文発表と学会発表を予定しており研究課題はおおむね順調に進展している,と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2,6-cisのピペリジンアルカロイドの合成法は確立できた。一方,2,6-transのピペリジン環の効率的な構築は困難であり現在までに高い立体選択性が得られていない状況である。現在までの研究によりアミノ基を保護した場合に嵩高いリガンドでは反応が進行しないことが分かっている。従って,無保護のアミノ基を用い,嵩高いリガンド,特に二座配位子であるBINAP, dppfなどを用いて立体選択性を詳細に調べ,2,6-transのピペリジン環の構築を行う。ピペリジン環の構築が達成できた時点で,2,6-transピペリジンアルカロイドでマクロファージの活性酸素産生抑制活性という特異な生物活性を有するspectamine A の合成に応用する。また,平成25年度は環状アシルパラデーションを用いた天然物合成に関しても研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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