2012 Fiscal Year Research-status Report
健康と長寿を指向したアミノ糖含有ヘテロ糖鎖による腸内環境改善技術の開発
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24580179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
芦田 久 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (40379087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 秀哉 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30183924)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘテロオリゴ糖 / ビフィズス菌 / グリコシダーゼ |
Research Abstract |
ビフィズス菌増殖活性のあるヘテロ2糖Galβ1-3GalNAcの大量調製法を確立するために、ビフィズス菌由来のエンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(EngBF)とシアリダーゼ(SiaBb2)を、チーズホエイ由来のグリコマクロペプチド(GMP)に作用させた。その結果、1gのGMPより約40mgのGalβ1-3GalNAcを遊離させることができた。熱に安定なヘテロ3糖Galβ1-3GalNAcα1-Glcの形で回収する目的で、1M Glcの存在下でEngBFの野生型酵素と糖転移活性の向上した変異体酵素H835A/W836Fを作用させヘテロ3糖の収量を比較したところ、H835A/W836Fは野生型酵素に比較して約3倍の収量が得られた。しかしながら、合成基質であるGalβ1-3GalNAcα1-pNPを糖供与体とした場合に比較して収率は低く、さらなる変異体酵素のスクリーニングが必要であることが明らかになった。 畜産廃棄物である胃ムチンからヘテロ2糖Galβ1-3GalNAcを調製する場合には、O-グリカン末端のシアル酸残基以外に血液型抗原の除去が必要である。ビフィズス菌ゲノム中にB型抗原に作用することが期待されるGlycoside hydrolase family 110に属する遺伝子agaBbが見出されたため、これをクローニングして酵素の諸性質を調べた。AgaBbはB型抗原に特異的に作用するα-ガラクトシダーゼであり、B型赤血球をO型に変換することができた。また、ユニークなCarbohydrate-binding module 51を含むが、このドメインはB型抗原に特異的に結合することを等温熱量滴定法(ITC)などにより示し、ムチン上でクラスター化したB型抗原の分解を促進することを明らかにした。この成果は本年度にGlycobiology誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が平成24年4月に京都大学から近畿大学へ異動したために、研究環境のセットアップに時間を要した。しかし、研究分担者および23年度まで指導していた大学院生が引き続き京都大学において研究を進め、EngBFを用いたヘテロ2糖の調製については目標を達成できた。糖転移反応を利用したヘテロ3糖の合成に関しては、従来見出していた転移活性の向上した変異体酵素が天然基質を供与体とした糖転移反応においては十分な転移活性を示さないことが明らかとなったため、当初の目標レベルには到達していない。結晶構造解析の結果からアグリコンの認識に関わることが予想される残基へのさらなる変異導入が必要である。 25年度に成果発表を予定していた、B型血液型抗原に特異的に作用するビフィズス菌由来のα-ガラクトシダーゼAgaBbについては前倒しで論文を投稿し、掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 安価な単糖・二糖を出発材料としたヘテロオリゴ糖の酵素合成法の探索-----ラクトースやキチン2糖などの安価な材料から糖転移反応によりヘテロオリゴ糖を調製するためのβ-ガラクトシダーゼ、β-N-アセチルグルコサミニダーゼを探索する。 2) ペントース含有オリゴ糖の酵素合成法の探索-----ビフィズス菌はペントースリン酸経路を有しており、アラビノースやキシロースを利用して増殖することができる。したがって、ペントース含有オリゴ糖は有効なビフィズス菌増殖因子となりうる。植物由来の多糖やオリゴ糖を材料としたペントース含有オリゴ糖の調製に利用できるアラビノシダーゼ、キシロシダーゼをビフィズス菌から探索し、応用を検討する。 3) 天然基質からヘテロ2糖を糖転移させることのできるEnbBFの変異体酵素の探索(研究分担者)-----これまでに合成基質を糖鎖供与体とした場合に高い糖転移活性を示すEnbBFの変異体酵素を作製してきたが、これらの変異体は天然基質を糖鎖供与体とした場合に十分な糖転移活性を示さなかった。そこで、天然基質からヘテロ2糖を糖転移させることのできる新たなEnbBFの変異体酵素をスクリーニングする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
94410円の繰越金が生じたが、次年度の物品・消耗品費に充当する。 研究代表者分は、酵素遺伝子のクローニング、発現、酵素精製、ヘテロオリゴ糖の酵素合成などに用いる物品・消耗品、学会参加のための旅費、研究補助者を雇用するための人件費、研究成果の論文発表のための経費に使用する。 研究分担者への分担金は、酵素の変異体の作製、酵素精製、転移活性の評価などに用いる物品・消耗品に使用する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] An α-N-acetylgalactosaminidase from infant-associated bifidobacteria belonging to a novel glycoside hydrolase family 129 is implicated in an alternative mucin degradation pathway2012
Author(s)
Masashi Kiyohara, Takashi Nakatomi, Shin Kurihara, Shinya Fushinobu, Hideyuki Suzuki, Tomonari Tanaka, Shin-ichiro Shoda, Motomitsu Kitaoka, Takane Katayama, Kenji Yamamoto, Hisashi Ashida
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 287
Pages: 693-700
DOI
Peer Reviewed
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