2013 Fiscal Year Research-status Report
海洋生物由来コラーゲン分解酵素のスクリーニング及び同酵素による食肉軟化作用の検証
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24580186
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小川 雅廣 香川大学, 農学部, 教授 (10398034)
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Keywords | コラーゲン分解酵素 / 培養方法 |
Research Abstract |
平成24年度には、高塩濃度下でも高いコラーゲン分解活性を有する二つの菌株(JS51,SF10)を見出した。平成25年度は、両菌株についてコラーゲン分解酵素(COLase)の生産に適した培養条件および酵素の分離精製法の検討を行った。 16S rRNA遺伝子の配列決定により、JS51菌株はShewanella属、SF10菌株はPseudomonas属の細菌であることが分かった。両菌株の栄養要求性を調べたところ、JS51はアルギニン(Arg)、グルタミン酸(Glu)、リジン(Lys)を必要としたが、SF10には必須アミノ酸がないことが分かった。酵素生産に適した合成培地の検討を行ったところ、両菌株とも合成培地では十分なCOLaseの生産が行われなかった。合成培地に7種類のアミノ酸(Arg,Glu,Lys,Leu,Ser,Val,Ile) 20mMとゼラチンペプトン2mg/mlを添加した半合成培地を使うことで、高いコラーゲン分解活性を有するCOLaseを得ることができた。 上述の半合成培地でJS51、SF10両菌を培養し、培養上清からCOLaseの分離精製を試みた。酵素の分離精製は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(疎水クロマト)、分取用等電点クロマトグラフィー(等電点クロマト)、イオン交換クロマトグラフィー(IEクロマト)により行った。 疎水クロマトには、JS51由来COLase、SF10由来COLaseとも樹脂に吸着した。また、樹脂からのCOLaseの溶出はJS51酵素が硫安を含まない溶液で溶出されたのに対し、SF10酵素は硫安濃度0.25Mを含む溶液で溶出された。等電点クロマトでは、JS51、SF10ともコラーゲン分解活性はpH8.0からpH9.0の間に溶出された。IEクロマト(SF10のみ実施)では、DEAEセルロファイン(移動相のpH8.6)には吸着し、0.1M NaClを含む溶液によって溶出されたが、CMセルロファイン(移動相のpH7.5)には吸着しなかった。 疎水クロマトの分画のSDS-PAGE解析より、JS51由来のCOLaseの分子量は45~50kDa、SF10由来のCOLaseの分子量は45kDaと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、JS51,SF10両菌株のコラーゲン分解酵素の生産に適した培養条件の検討と各種クロマトグラフィーによる酵素の精製法の検討を行った。当初の計画どおり、酵素生産に適した細菌の培養条件が見つかったこと、培養上清から疎水性クロマトグラフィーや陰イオン交換クロマトグラフィー(DEAEセルロファイン)でコラーゲン分解酵素が分離できたことより、計画はほぼ達成されたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大量に酵素精製が可能な簡易な酵素精製の分離方法を確立し、分離した酵素の基質特異性を調べるとともに、酵素を硬い牛肉に作用させ、肉の軟化作用を評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品調達の効率化により残額が生じた 次年度は消費税が5%から8%になることから、予想よりも消耗品の金額が増えることが予想される。その増加部分の補填に使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Transepithelial transports of rare sugar D‑psicose in human intestine2013
Author(s)
Hishiike, T., Ogawa, M., Hayakawa, S., Nakajima, D., O’Charoen, S., Ooshima, H., and Sun, Y.
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Journal Title
Journal of Agricultural and Food Chemistry
Volume: 61
Pages: 7381-7386
DOI
Peer Reviewed
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