2012 Fiscal Year Research-status Report
南海地震による液状化被害低減と森林資源活用化技術の開発
Project/Area Number |
24580221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
原 忠 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (80407874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 淳紀 飛島建設株式会社技術研究所, その他部局等, 研究員 (10443649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 液状化 / 木材利用 / 地球温暖化抑制対策 |
Research Abstract |
本研究は,地域の森林資源を活用した新しい地盤の液状化対策法を提案するものであり,発生確率の高い南海トラフ巨大地震での被害が懸念される液状化災害を最小化する技術開発を目標としている。主要な成果が下記のとおりである。 1.高知県林業振興・環境部,高知県森林組合連合会,香美市木材加工センターを対象に,高知県内の森林事業の実態をヒアリング調査した。その結果,県内の森林の面積,製材や搬出に関わる生産工程,生産している木材の樹種や寸法,量,径級,価格等が把握された。 2.東日本大震災で液状化が生じた千葉県浦安市運動公園を対象に,現地調査(サウンディング)および試料採取を行った。現地調査の結果,浚渫埋立された液状化地盤の貫入抵抗値はN=10を下回り,極めて軟弱な地盤が堆積することが明らかになった。また,FL値による液状化判定結果は1を下回り,液状化抵抗力も小さいこともわかった。採取試料の粒度分析結果から,埋立て材料は液状化の可能性が大きい非塑性なシルトを含む砂質土であることが分かった。 3.模型実験で再現可能なように地盤条件を定めるため,高知県の地盤情報データベースと地質図より液状化の可能性のあるモデル地域を抽出した。さらに,常時微動観測により軟弱地盤の加速度応答スペクトルを求め,千葉県浦安市で発生した噴砂を用いて小型の振動実験を実施した。一連の研究結果から,軟弱層の卓越周期は概ね0.5~1秒程度であること,細粒分の多い自然砂についても丸太打設により液状化対策効果があることなどが分かった。 4.浦安市運動公園内で行った丸太打設実験を対象に,木材打設による液状化対策工を試設計し,液状化対策工に木材を利用した場合の経済性について,セメント固化系による既存の液状化対策工と比較した。本年度は丸太打設による地盤改良効果を発揮するための適切な打設間隔を選定し,工費に占める材料費,丸太打設費などを算定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度実施予定の4課題(高知県における森林経営と木材生産に関する実態調査,浦安市の被害調査,模型実験による評価法の検討,液状化対策工試設計)のすべてが順調に進捗した。特に課題(3)の現地地盤調査では,現地のサウンディング調査に加えて常時微動探査による非破壊調査を試み,液状化が生じた埋立地盤の軟弱性をサウンディング試験に加えて物理探査から判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究分担者と連携を取りながら,以下の4課題に取り組む。 課題1(高知県における森林経営と木材生産に関する実態調査)は,平成24年度で得られた成果を参考に,地方自治体等の協力を仰ぎながら引き続きアンケートおよびヒアリング調査を行う。それらの結果を分析し,高知県における林業の現状と課題,木材の形状,寸法,価格,搬出入の難易度を分析する。 課題2(液状化試料の室内試験と強度評価)は,平成24年度に採取した浦安市で液状化した試料を対象に室内三軸試験を行い,南海トラフ巨大地震などの海溝型地震に対する液状化抵抗を求める。 課題3(液状化加振実験)は,液状化する可能性の大きい砂により,木材を配置した液状化対策模型振動実験を行い,液状化対策効果の有効性を検証する。 課題4(コストおよび温室効果ガス削減効果の試算)は,木材打設による液状化対策モデル地盤を対象に,コスト,炭素貯蔵量,工事によるエネルギー利用量を試算し,既往の 液状化対策工法と比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額は,平成25年度分の研究費と併せた支払いが確定している経費であり,実際には,研究計画に基づき全額を執行予定である。そのため,次年度の研究は,当初の計画通り進める予定である。
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Research Products
(4 results)