2014 Fiscal Year Annual Research Report
真骨魚類における細胞内浸透圧調節機構の解明と食品機能性・呈味性向上への応用
Project/Area Number |
24580260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 壮一 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (20507884)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞内アミノ酸調節 / 栄養代謝 / 真骨魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究遂行の結果、環境浸透圧および栄養条件の変化に応答した細胞内アミノ酸濃度の変化の組織特異的パターンが見出された。まず魚体内のアミノ酸代謝に関する理解をより深めるため、淡水と海水中においてそれぞれ2週間の絶食とその後3日間の再給餌を行い、筋肉・肝臓・血漿中の遊離アミノ酸濃度を経時的に測定した。ほとんどの種類のアミノ酸は絶食期間中に濃度が低下し、再給餌によって濃度が回復した。これは、外部からのアミノ酸の取り込みが不可能な絶食期間中も、生体活動を維持するためにティラピアがある一定程度の必須アミノ酸が代謝され続けたためだと考えられる。再給餌後は再び外部から食物という形でアミノ酸が供給されたために遊離アミノ酸濃度も回復傾向を見せたと考えられる。また筋肉および肝臓中では高濃度で含まれるアミノ酸類は大きく異なり、組織毎に細胞内アミノ酸調節機構が異なることが示唆された。これらの組織において含有比率の高いアミノ酸は絶食を通じて濃度変化がほとんど見られなかった。このことから、細胞内において濃度が高いアミノ酸についてはその濃度自体を維持することが必要であることが示唆された。加えて血漿中でのアミノ酸変化を検討したところ、初期存在量の多寡に関わらず絶食によって減少した。また、再給餌期間においてもその濃度に回復は組織中と比較して緩慢であり、再給餌条件下では細胞内へのアミノ酸取込が活性化されていることが示唆された。魚類組織から単離した細胞を株化し、培養条件下でのアミノ酸取込の検討を行ったが、株化した細胞はその細胞内アミノ酸組成が組織中のものと大きく変化し、また由来組織に依らず均一な性質を示した。このことから培養細胞を用いた実験系は由来組織の性質を保持しておらず、本研究での解析系として不適当であることが示唆された。
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[Journal Article] Effects of salinity and prolactin on gene transcript levels of ion transporters, ion pumps and prolactin receptors in Mozambique tilapia intestine2014
Author(s)
Andre P Seale, Jacob J Stagg, Yoko Yamaguchi, Jason P Breves, Satoshi Soma, Soichi Watanabe, Toyoji Kaneko, Avner Cnaani, Sheenan Harpaz, Darren T Lerner, E Gordon Grau
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Journal Title
General and Comparative Endocrinology
Volume: 206
Pages: 146-154
DOI
Peer Reviewed
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