2012 Fiscal Year Research-status Report
シオミズツボワムシ腸管内における魚病細菌の病原性関連遺伝子群の解析
Project/Area Number |
24580270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
菅 向志郎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (60569185)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 魚病 / 魚病細菌 / シオミズツボワムシ |
Research Abstract |
本研究は、魚病細菌の発症機構を解明する為、仔魚と成魚で発症する共通魚病細菌があまりいない現象から、仔魚と成魚で魚病細菌との接触様式が異なることが、魚病を発症させるか否かを決める一因であると考え、種苗生産における仔魚期にのみ用いられるシオミズツボワムシ(以下ワムシ)に着目した。ワムシの腸管内に取り込ませた魚病細菌と通常の培地で培養した魚病細菌のタンパク質発現パターンを網羅的に比較し、発現の異なるタンパク質と魚病細菌が生産する病原性物質との関連を明らかにすることで、細菌性疾病の発症機構解明の一助とすることを本研究の目的とした。H24年度は、ワムシ培養液に7種類の魚病細菌(Aeromonas hydrophila、Edwardsiella tarda、Photobacterium damuselae subsp. piscicida、Pseudomonas plecoglossicida、Vibrio anguillarum、Vibrio ichthyoenteri、Citrobacter freundii)を別々に添加し、これらの魚病細菌がワムシに及ぼす影響を解析した。その結果、1 mLあたり4乗オーダーの菌濃度ではワムシ生活史に影響は無かった。これより、本菌濃度であれば、ワムシにとって過度なストレス無く、ワムシに魚病細菌を取り込ませることが可能である。使用した魚病細菌のうちVibrio ichthyoenteriをワムシ培養液に添加しワムシの無給餌飼育を行うことで、ワムシの腸管内に本菌が取り込まれることを顕微鏡で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワムシ内での魚病細菌のタンパク質発現解析に必要な、魚病細菌がワムシに及ぼす影響、およびワムシ腸管内に魚病細菌を取り込ませるための細菌添加濃度などの基礎的知見が得られている。これらは、H24年度の実験実施計画に沿って実験が進んでいることを示している。よって、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に実施した研究をもとに、さらにワムシ腸管内に効率的に魚病細菌を取り込ませるワムシの培養条件を検討すると共に、ワムシ腸管内に取り込まれた魚病細菌の分離方法を確立する。ワムシ腸管内より分離した魚病細菌と通常の培地で培養した魚病細菌よりタンパク質を精製し、SDS-PAGE、2D-PAGEを行い、異なる環境下で発現が変化するタンパク質の特定を行う。これらの実験から、ワムシ腸管内に取り込まれた魚病細菌の代謝や形質の変化に関与する遺伝子を特定し、病原性との関連を解析することで、細菌性疾病の発症機構の一端を解明することを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度に購入した機器であるLight Cycler Nanoは、パソコンを用いて操作する必要がある。本機器を購入する際、操作用パソコン一式の購入を予定していたが、既存のパソコンで本機器を制御可能であることが確認出来たため、パソコン一式を購入する必要がなくなり余剰金が生じた。この余剰金を含めたH25年度に使用する研究費は、ワムシ腸管内に取り込まれた魚病細菌を効率よく分離するために必要な中型培養器(50万円)、魚病細菌のタンパク質および遺伝子解析を行うための試薬・消耗品(100万円)、実験結果の学会発表等の旅費(10万円)として使用する計画である。
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Research Products
(7 results)