2012 Fiscal Year Research-status Report
無菌魚を用いた魚類プロバイオティクスの機能検証とその応用による最適投与法の検討
Project/Area Number |
24580283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
間野 伸宏 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10339286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪 健史 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (00551756)
難波 亜紀 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (20445737)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物 / 免疫 / 仔稚魚 / 水産 / プロバイオティクス / 魚病 / 歩留まり / 成長 |
Research Abstract |
先行研究では、卵胎生魚グッピーPoecilia reticulataを供試魚として、100日を超える長期飼育が可能な無菌魚の作出に成功した。2週間以上飼育した無菌魚は対照の有菌魚と比較して肝臓実質細胞の形態や腸管・腎臓組織における白血球の局在が大きく異なっていたことから、常在微生物が魚類の生体防御能や代謝に大きい影響を及ぼしているものと推察された。そこで当該年度では、無菌魚に対する微生物投与試験の影響解析指標を得るため、白血球を対象とした細胞マーカーの探索や代謝指標としてのレクチンによる糖鎖解析を実施した。 結果として、CD3を対象とした免疫染色によるT細胞の組織局在解析法を確立した。同法で無菌および有菌魚を比較したところ、無菌魚の腎臓組織ではT細胞が極めて少なく、腸管の粘膜固有相では皆無であった。また、レクチンを用いた解析において、無菌魚と有菌魚の間で腸管上皮細胞に対するレクチン結合性に明瞭な差異がみられたことから、無菌環境がリンパ球や腸管上皮細胞の分化発達に強い影響を及ぼしているものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では無菌魚への有用細菌の影響解析指標を得るとともに、微生物投与試験が成長に及ぼす影響解析まで予定していた。影響解析指標については、T細胞の組織局在解析法や腸管上皮細胞を対象としたマーカーを得ることができ、当初の目的を達成した。また両手法の確立に従い、無菌環境がグッピーのT細胞や腸管上皮細胞の分化発達に及ぼす影響に関する知見も得られた。しかし、微生物の投与試験では、投与魚体において腸管に炎症が生じ、一定期間無菌飼育を行った魚体では死亡する個体も認められ、当該年度に達成予定であった菌体投与が魚体の成長に及ぼす影響についての結果を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
無菌魚への微生物投与において、魚体が病害性を示さない最適な投与法(投与開始時期や接種濃度を含む)について検討を進めており、これまでに1菌種においては薄切標本観察により異常がみられない投与条件を確立した。他菌種でも最適投与条件を確立した後、無菌環境が成長、代謝(糖鎖解析)、および免疫能(T細胞局在,生体防御能関連遺伝子の発現解析,感染実験)に及ぼす影響について解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
無菌環境が魚体に及ぼす影響について、無菌魚作出に加え、これまで確立してきた組織学的および分子生物学的解析の関連薬品およびディスポーザブルプラスチック器具類の購入に使用予定である。
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