2013 Fiscal Year Research-status Report
無菌魚を用いた魚類プロバイオティクスの機能検証とその応用による最適投与法の検討
Project/Area Number |
24580283
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
間野 伸宏 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10339286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪 健史 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (00551756)
難波 亜紀 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (20445737)
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Keywords | 微生物 / 免疫 / 仔稚魚 / 魚病 / プロバイオティクス / 歩留まり / 成長 / 水産 |
Research Abstract |
本研究は、グッピー成魚から無菌的に稚魚を得ることにより作出した無菌魚に有用・病原性微生物を投与することにより、微生物と魚類の相互作用の解析を目指すものである。 2週間以上飼育した無菌魚は、飼育水を添加することにより有菌化した魚体(有菌魚)と比較して、特に白血球の局在が大きく異なることが明らかとなっており、常在微生物が魚類の生体防御能に大きい影響を及ぼしていることが推察された。そこで平成24年度では、無菌魚に対する微生物投与試験の影響解析指標を得るため、白血球を対象とした細胞マーカーの探索を進め、CD3を対象としたT細胞や糖結合物質であるレクチンによる貪食細胞の局在解析法を確立した。上記手法で無菌および有菌魚を比較したところ、特に無菌魚ではT細胞の局在が極めて少ないことが明らかとなった。しかし、一定期間無菌環境下で飼育した稚魚に微生物を投与すると、多くの個体が死亡し、本研究が目的とした微生物投与の影響解析を実施することができなかった。 そこで平成25年度は、無菌魚における微生物の影響解析に適した投与条件(投与菌種、投与時期)について検討を行った。魚類でもプロバイオティクス効果が確認されている乳酸菌を中心に、複数の菌種で検討を行った結果、Pediococcus acidilacticiの複数株において、試行したいずれの菌濃度においても、無菌飼育開始1週間後の魚体に対しては病害性が認められなかった。また、昨年度確立した手法を用いてT細胞や貪食細胞の局在性を解析したところ、微生物投与2週間後の魚体においてT細胞の分布局在が有菌魚と同等に回復してくることが確認された。P. acidilacticiは海外のサケ科養殖において有用なプロバイオティクス菌種として期待されているものであり、最終年度では上記飼育系を用い、感染試験に対する抗病性向上効果や魚体の成長効果について検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、無金魚への微生物投与試験に伴い、成長や生体防御能に及ぼす影響解析まで予定していた。しかし、一定期間、無菌環境下で飼育した魚体に微生物を投与すると炎症を発生し、多くの個体が死亡する現象が認められたため、本年度は上記障害に対する克服に取り組み、乳酸菌 P. acidilactici を用いた微生物投与試験法の確立まで実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、代謝(上皮細胞分化)や免疫能(特にT細胞や貪食細胞局在)の指標を得て、平成25年度では、乳酸菌 P. acidilactici を用いた微生物投与試験法を確立した。そこで最終年度では、上記の微生物投与試験法に対する、成長、代謝、免疫能(感染実験を含む)に及ぼす影響について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた微生物投与試験による魚体の代謝や免疫能解析試験を実施できなかったため。 昨年度実施予定であった、微生物投与試験系における魚体の代謝や免疫能解析試験に使用する。詳細は下記の通り。魚体の代謝・免疫解析関連消耗器具類代894,812円,魚体の免疫能解析関連試薬700,000円,国際学会発表交通費200,000円,別刷り代100,000円 計 1,894,812円
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